藤沢周平「山桜」映画化の憂鬱──田中麗奈主演!?

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田中麗奈「山桜」で時代劇初挑戦


 作家藤沢周平さんの人気小説「山桜」が田中麗奈(27)東山紀之(41)主演で映画化され、来年初夏に公開されることが8日、分かった。2度の結婚に疲れうちひしがれた女性が、本当の幸せを求めて歩み始める姿を描く。2人は初共演。来年女優デビュー10周年を迎える田中にとって時代劇初挑戦となる。


 原作は「時雨みち」(新潮文庫)の中の同名短編。時代小説の第一人者、藤沢さんの作品では珍しい女性主人公の小説で、映画化は構想から7年越しで実現した。メガホンは篠原哲雄監督がとり、山形ロケを中心に今年春から秋まで撮影された。(ニッカンスポーツ)



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 2007年12月のニュース。2ちゃんねるの文藝板「藤沢周平」で今知った。「来年初夏公開」とあるから、今年の夏にロードショーか。
「山桜」は数ある藤沢周平作品でも最高に好きな短編。何度読んでも泣ける。
 それがくだらん映画化でまた汚される。なんともたまらん気分になる。この作品だけは映画やテレビに汚されたくなかった。

 ヤマダヨウジの「たそがれ清兵衛」「隠し剣 鬼の爪」「武士の一分」と思い出すだけで腹が立つ一連の愚作がある。原作の味をぶちこわしている。藤沢作品に対する冒涜だ。
 その辺のことを書いておかねばと思いつつ、それはマイナスへの突撃であり、しかもエネルギーは大量に消費するから、どうにもその気になれず、やらずのまま今日まで来てしまった。死力を振り絞って書いておこう。自分へのけじめだ。もう六年越し、七年後しか。

 東山はロシアの血の入ったいい役者だ。「眠狂四郎」でもやれば似合うだろう。本来「眠狂四郎」は異国の血が入っていることになっている。
 がこの原作の男とはまったく雰囲気が違う。なんつうキャスティングだろう。客を入れるためにキムタクやヒガシのような美男を起用せねばならない台所事情はわかるが、あまりに安易なキャスティングにうんざりする。原作のイメージは、もっとごつごつした偉丈夫で、汗くさい、素朴な男である。
 猫目の田中は、原作のヒロインは気が強いので、東山よりはまだイメージ的にましと思うが、そもそもバタくさい彼女の顔は時代劇ではあるまい。どういう発想からこのふたりになったのだろう。理解に苦しむ。


 なんとも憂鬱になる。公開後は、またこの映画ばかりが一人歩きし、「山桜」を読んだ気になる勘違いファンが増えるのか。
 唯一の救いは、これは短編であるから、ヤマダヨウジのような失礼な原作ぶちこわしはしまいということだ。

 ヤマダヨウジ愚作の中でも、特に「たそがれ清兵衛」は、「たそがれ清兵衛」と「祝い人助八」と「竹光始末」という優れた三作をヤマダヨウジがミキサーでかき回し、美味しいところだけを抽出するつもりで、賞味に耐えない気味悪い味にした最悪の駄作だった。さらには岸恵子のナレーションで時代批判をし、共産党風味まで付け加えている。あれじゃまるで藤沢がそう思っていたかのようだ。この左寄り思想風味は醜悪である。なんともたまらん。


 そう考えてくると、「山桜」も、原作短編一作だけでは弱いかと、またよけいなことをしてくる可能性がある。ニッカンの記事によると、この原作に惚れ込んだスタッフが七年がかりで実現した映画化ということだが、そこはそれ、映画人というのは、原作を忠実に映画化することはない。原作は原作、これは「自分の作品」とばかりに、必ずいじくり回して原作をぶちこわしにする。
 頼むから原作を壊さないでくれと今は祈るのみだ。


 なんとも憂鬱である。掌中の玉が汚された思いだ。



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 記事の、「藤沢さんの作品には珍しい女性主人公の小説」はお粗末。市井物の藤沢作品に女主人公は山といる。女だけが主人公の連作集、単行本もある。記者が藤沢作品を読んでいないことが明白だ。単にスポーツ紙の記者として映画化の記者会見に出かけ、適当に書き流した浅薄な記事なのが見え見えである。あまりの無知が他人事ながら恥ずかしくなる。

 ついでに言うなら、その前「藤沢周平さんの人気小説『山桜』もヘン。これは短編集の中の地味な一作。マニアックな藤沢ファンのあいだでは評価の高い一作だが、ヤマダヨウジの映画や、NHKのドラマから藤沢作品を読むような連中は、誰も知らないマイナーな作品である。 
 記者のいいかげんさが読みとれて笑える。
 いやはや憂鬱だ。
 


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 この文章の続きが私のサイトにあります。下にリンクを貼っておきますので、お時間があったら、どうかこの話の結末を読んでください。結論は、憂鬱ではなく、とてもいい映画でした。(2013/4/15 記) 


kanren6元文──「山桜」映画化の憂鬱+「山桜」評判の良さに安心 


・映画「山桜」を見る──藤沢先生遺族も満足した良作──2009/6/20

・藤沢周平原作「花のあと」感想──北川景子はきれいだけれど

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  1. 2008/02/03(日) 23:31:32|
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