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ことば──「南朝鮮」という言いかたの始まりについて

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 以下に書くことは、知っているかたには常識であり何を今更だろうが、知らないひとにはけっこう意外と思う。かくいう私がそれを知ったのはほんの十年ほど前であり(お恥ずかしい)、それまで私は完全に誤解していた。無智だった自分を愧じつつ、どなたかの勉強になればと書く次第である。「南朝鮮」という言いかたの始まりについてだ。


 このことばを聞いて誰もが思うのは、「なぜ大韓民国の略称である韓国が根づいているのに、そんな言いかたをするのか」だろう。「朝鮮漬け」が「キムチ」に、「朝鮮語」が「ハングル」にされてしまったように、日本から「朝鮮」ということばは消されようとしている。それは併合時代から戦後の悪いイメージに繋がるから、なるべく使わず、消してしまおうと言うことなのだろう。むかしはラーメンを「支那蕎麦」と言ったように、普通に使われていたChinaから来ている正当な「シナ」ということばを消してしまうのと同じ流れだ。
 そしてまたあの奇妙な国とも呼べないへんてこな、俗に言う「北朝鮮」というものがあり、「朝鮮」ということばのイメージは悪くなる一方だった。

 その感覚は日教組に自虐史観を擦りこまれた私の中にもあり、日本は朝鮮に悪いことをしたのだから、朝鮮人に会ったら土下座して謝らねばならないと思って生きていた私にとって、「朝鮮」ということばは気軽に口に出来ないものだった。

 しかしまた地名は「朝鮮半島」であり、民族名は「朝鮮民族」であり、南朝鮮がどんなに「韓」の字を前面に出しても、Koreanは朝鮮なのである。


 「朝鮮」というコトバを気軽に口に出来ない(私個人の)時代に、「南朝鮮」という言いかたを耳にした。私はそれに悪意を感じた。国交のない「北朝鮮」という悪の国がある(1960年代には教育費医療費無料で万民平等の夢の国とアサヒシンブンを始めとするマスコミによって喧伝されていた。)
 その「北」と並べて「南朝鮮」というのは、大韓民国を貶める言いかたなのだろうと、そのときの私は思った。
 
 それから幾星霜、私は「南朝鮮」という言いかたをする何人かと出会ったが、それがみな右翼系のひとだったから、やはりそれは「朝鮮民族を差別するひとの用語」なのだと思っていた。
 そしてある日偶然に知った真実は、まったく逆だった。言われてみればその通りで、なぜ気づかなかったのだろうと愧じるのだが、気づかなかったものはしょうがない。


「南朝鮮」という言いかたは、サヨクが始めたものだったのである。
 理由は明確だ。彼らのあいする「朝鮮民主主義人民共和国」を「北朝鮮」と略して呼ばれるのは彼らにとって屈辱なのである。朝鮮民主主義人民共和国が北朝鮮なら、自由主義陣営の「大韓民国」は「南朝鮮」ではないか。そうだそうだ、これからは韓国などと呼ばず「南朝鮮」と呼んでやる。どうだ、くやしいだろう、おれたちが朝鮮民主主義人民共和国を北朝鮮と呼ばれて感じる口惜しさを、おまえらも感じろ、が「南朝鮮」という言いかたの始まりだった。のである。

 当時はNHKを始めどこでも、「北朝鮮」と言ったあと、「朝鮮民主主義人民共和国」と言っていた。二度手間である。プロレスで「キム・イルこと大木金太郎」と言っていたのと同じだ(笑)。
 ニュースでも必ず「この件に関しまして政府は、北朝鮮(すこし間を置き)朝鮮民主主義人民共和国の対応を待って」のように、必ず、まず「北朝鮮」と言い、一拍おいて、そのあと「朝鮮民主主義人民共和国」と続けていた。

 理由は明解だ。「北朝鮮」で通じているのだが、それだけですませてしまうと、必ずサヨクから「なぜ正式な国名を言わないのか!」と抗議が来るからである。それで誰もが知っている「北朝鮮」とまず言った後、「朝鮮民主主義人民共和国」と続けていた。いまは「北朝鮮」としか言わない。やっとまともになった。North Koreaであるから、それでいいのである。


 「南朝鮮」という表現の始まりは私には意外だった。ウヨクが朝鮮民族を貶めて言いだしたのではなく、サヨクが「北朝鮮」と並べて大韓民国を貶めるために使い始めたコトバだったのである。
 意外な始まりを考えているとき、どっちが言いだしたとか、貶めるとかなんとか以前に、これがごくまともな表現であることに気づいた。冷戦以後に分断された朝鮮半島の、悲劇の「南北朝鮮」なのである。「北朝鮮」と「南朝鮮」は正しい言いかたなのだ。早くひとつになって欲しい。そのとき、どのような国名になるかはともかく。

 いまのところ、もしも北朝鮮が崩壊し、南北朝鮮が統一されることになったら、南朝鮮にそれをぜんぶ引き受けるだけの国力はなく、破綻すると言われている。当然そのしわよせは日本に来る。国民が日々の糧にも餓える北朝鮮という悪は一日も早く消滅して欲しいが、今すぐだとたいへんな混乱が待っているようだ。
 
「南朝鮮」というコトバを正当に理解してから私はこれを気楽に使えるようになった。
 それを使えなかったのは、「朝鮮」という言葉をすなおに口に出来ないという、日教組に染められた自虐史観の残滓だった。



【餘談】──いま「ざんし」を変換したら、「ざんさい」ともあり、それを「慣用読み」としていた。なるほど「宰相」の「さい」だから、これを「ざんさい」と読むひともいるのか。さいわいにして周囲にはいない。よかった。ざんしはざんしである。ざんさいではない。ツクリから詳細をようさいと読んだ麻生さんはきっと「ざんさい」だろう。)


 英語ではSouth Koreaだ。略してふつうにSkoreaと言うことも多い。あちらはNkoreaだ。いちいちサウスだノースだと言うよりこのほうが便利だからだろう。分断されている南北朝鮮を正確に表している。あくまでもあそこはKoreaであり朝鮮なのだ。このSとNは、日本の「北朝鮮」「南朝鮮」に通ずる。
 
 漢字表記では「大韓民國」だが、彼らは漢字を実質的に廃してしまった。自分の名前すら漢字で書けないひとがいっぱいいる。というかもう書けないことが標準だ。現実生活で漢字を書く必要がないのだから。
 その略称である「韓国」とは日本でだけ通じる表現である。ワタナベサダオを略して「ナベサダ」と言うようなもので、なんの意味もない。だったらもう「韓国」なんていう漢字の名前は廃して「南朝鮮=South Korea=Skorea」と言ったほうがいい。もちろん漢字名称で正式に呼びたいひとは大韓民国と言えばいい。韓国と呼ぶひとから南朝鮮と言うことに抗議をされる謂われはない。それはワタナベサダオとフルネームで呼んでいることに対して「ナベサダ」と呼べと言われるようなものにすぎない。


 と言いつつ、よけいな波風を立てたくない場では「韓国」と書きますけどね(笑)。なぜなら、そのことが目立つと、いちばん言いたいことが伝わらなくなるから。
 
 選挙特番で池上彰がやった失敗もそれになる。慎太郎さんが「北朝鮮やパプアニューギニア、フィリピン」と言ったことに対し、テーマの「単式簿記の国」を無視して、「北朝鮮やその他の国を同列に並べるから〝暴走老人〟と言われるのでは」と斬りこんで恥を掻いた。
 
 これは池上の赤っ恥だが、慎太郎さんが「いまだに単式簿記の国は、日本とパプアニューギニア、フィリピンぐらいですよ」と「北朝鮮」の名を入れてなかったら起きない問題だった。もっとも、それだったら池上のはしゃぎすぎ赤っ恥も生じなかったわけで、それが気分が良かった私には、それはそれでおもしろかったのだが。
 しかしそれを見ても、中には「池上が石原をやっつけた」と思い込んでいるひともいる。

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池上彰選挙特番考──池上が石原をやっつけたと解釈している競馬評論家



 ま、そんなわけで、好き勝手な文では「南朝鮮」と書きますが、何かテーマがあって、それを伝えたいときには「韓国」にします。そうしないと「南朝鮮」というコトバばかりが目立って本意が伝わらなくなりますので。

---------------

 ついでに。
 共産党独裁政権の中華人民共和国のことを「この世の中心地」という尊称である「中国」とは呼びたくない。Chinaから来ているシナでいい。世界中どこでも「チャイナ」「シーノ」とChina系の呼び方だ。アラビア語には「シネ」という発音もある(笑)。
 よって私はふだんは「シナ」。問題のある場面では「China」にする。これなら誰も文句は言わない。「支那」と漢字で書くと、やつらは「支店の支を使って、日本よりも下のようにする」とイチャモンをつけてくるので、カタカナが無難らしい(笑)。ここでの「やつら」とはシナ人のことではない。日本のアサヒシンブン的サヨクである。
 
 そもそも「シナと呼ぶのは悪いいいかただ」もまた「従軍慰安婦」的な捏造イチャモンなのである。やつらは自分達を有利に運ぶためなら、どんなことにもイチャモンをつけて騒動のネタにする。日本から「支那蕎麦」をなくしたのもやつらである。
 世界中どこにでも嫌いな国や民族を蔑視して呼ぶ言いかたはあるが、朝鮮もシナもそれではない。これは正しく理解すべき常識になる。歴史ある由緒正しい呼び方だ。
 いま公人として「シナ」と使うのは慎太郎さんだけか。
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