ホッピー話──ホッピーの夏の終り──ゴキブリ話


hoppy(承前)

 ホッピーを飲むようになって困ったのは空きビンの処理だった。

 ビールはビンがうまい。カンビールよりもうまい。スチール缶のときは鉄臭くて飲めなかった。アルミ缶になってからそれはなくなったが、グラスに注ぐ風情もビンが最高だ。他の項目で書いたが、カンビールをそのまま飲んでいる夫婦がテレビに映っていた。ああいう生活はしたくない。

 しかし私もいつしか購入するのはカンビールになっていた。ゴミ処理が楽だからだ。目黒品川時代はビンビールだったから、いつからだろう、まああのころはスチール缶だ。アルミ缶はくしゃくしゃに潰せる。スチール缶でそれはできない。

 タイの田舎が好きだったのもまだどこでもビンビールの時代だったからだ。コンビニで売っているビールもみな大ビンだった。タイには中ビンなんてせこいものはない。今はもうタイもカンビール主体なのだろうか。ハイネケンとか輸入ビールは当時からもうカンが主体だった。輸送費の問題だろう。

 そういう意味じゃアルミ缶は先進的だ。私は初めてアルミのカンビールを見たとき、「たかがビールにアルミ缶を使うなんてとんでもない贅沢だ」と思った。それこそ値段の何割かはアルミ缶の料金ではないかと。そんな時代もあった。

 空き缶の処理の簡便さでいつしかカンビール派になってしまったけど、今でもビンビールがうまいと思っている。そして当然好きなのは「大ビン」である。まったくあの「中ビン」てのを思いついたヤツの神経を疑う。あれが出まわり始めたころ、居酒屋に入り中ビンが出て来るとがっかりしたものだった。「小ビンでは物足りなく、大ビンでは多すぎるあなたに」ってことらしいけど、大ビンを何本も飲むこちらにはなんともくだらん発想に思える。大ビン一本飲めないならビールなんて飲むな。

 しかし中ビンはあっと言う間に普及した。なぜか!? 居酒屋の実質的値上げに役だったからである。「ビール 500円」と書いたまま、大ビンを中ビンに替える。こりゃいい方法だとそこいら中、中ビンだらけになった。このころサッポロビールのアルバイトをしていたこともあり、セコい居酒屋が一斉に中ビンになってゆくのを呆気にとられて見ていた。

 極力紙パックの「燃えるごみ」として出せるものを使うようにして生きているので、ひさしぶりのビンの処理には困った。台所にボーリングでも出来るほどホッピーの空きビンが並ぶのを見るのはきれい好きの私には苦痛だった。



gokiburi 「きれい好き」と言えば、2年前の猛暑で「今までの人生で見たゴキブリの総量よりも多いほどのゴキブリをひと夏で見た」という恐怖体験から、夏が近づき、台所を這うゴキブリを一匹見たとき、二度とそういうことにならないよう警戒した。6月中旬だったか。

 2年前があまりに異様な夏だったのであり、去年も一昨年の使い残しのゴキブリホイホイで足りたから大丈夫とは思っていたが、念のために今年初めて写真のものを買ってみた。

 2年前にゴキブリホイホイを買ったとき「これを買うのは十年ぶりか」と書いている。私の部屋にゴキブリは出ない。たまに見かけるのも他所から来ているのだと思う。そういえばここの前のマンションは2年ほどいたが一匹も見なかった。

 なのに2年前の記録的猛暑の夏、台所をゴキブリが這いまわっていた。流しまわりのステンレスの裏に巣があったらしく、そこにゴキジェットというスプレーを噴霧し、一斉にワッと出てきたときは、ゴキブリなんて手掴みできるぐらい平気な私が思わず「ヒッ」と声にならない悲鳴をあげたほどだった(笑)。異常な猛暑には昆虫の異常発生があるらしい。あれはやはり今思ってもとんでもない夏だった。

 今年、初めてこれを使ってみた。2パック買い32コをそこいら中に置いた。同時にゴキブリホイホイを2ヵ所仕掛けた。結果は、ゴキブリホイホイに数匹ひっかかり、その後はまったく見ていない。

 ゴキブリホイホイが発生しているゴキブリを捕まえるものであるのに対し、これは発生しているのに毒を喰わせて繁殖できなくしてしまうものである。でもゴキブリホイホイのように「目に見える効果」はない。果たしてどんなものかと思っていたが、「元から断つ」効果はすばらしいと感じいった。7月、8月と一匹も見ていない。快適だ。これからは毎夏、これを仕掛けることにしよう。



hoppyglass まだまだ残暑は続くが新たにホッピーを注文するつもりはない。
 理由は、ホッピーの便利さ、その悪魔的魅力(笑)と、すこし離れようと思うからだ。

 通販は便利だ。でもすこしアブナイ。通販で買う前、私は近所のスーパーで毎日「レギュラー2本、ブラック2本」のホッピーを買ってくるのが常だった。自転車のカゴは4本でもカチャカチャいってうるさい。このへんが限界。それがほどよかった。

 4本を冷やしておく。24時間好きなときに飲むが、マックスが4本だからそれ以上は飲めない。だいたい一日2本だったけど、ついつい4本飲んでしまうときもある。翌朝、スーパーが開店する10時に行って買い補充しても、冷えてないから冷蔵庫に入れて夕方まで待つことになる。半日飲めないから、自然に一日2本のペースに戻っている。それがまたよかった。飲み過ぎのブレーキになった。

 ところが通販で注文したから常時10本以上がスタンバイしている。これは便利だったけどまずかった。前記、「1日平均3本」と書いたが、それは平均という数字のマジック。実際は5本、6本と飲んだ日もあれば、1本も飲まない日もあった。通販によってそれまで守られていたペースが崩れてしまった。

 たかがビールと同じ酒精度の飲物であるから、その程度飲んでもなんてことはないのだが、ホッピーには「ビールと同じ」ではない魅力がある。いや怖さと言ったほうが適切か。



 ホッピーの「便利さ、魅力」は、なんといっても「酒精度自由」であることだ。★のマークを目印に焼酎を注ぐことにより、5%(ビールと同じ)、8%(ストロングカンチューハイと同じ)と自由に出来る。

 それは25度の焼酎の場合。38度のウオトカやジンを利用するともっと強いのを作ることが可能。私はそれをやった。

 写真の500ミリリットル入りジョッキで4杯飲んだだけなのに気持ちよく寝入ってしまったたことがあった。深夜に目覚め、「ここはどこ、わたしはだれ」状態。いやほんと、うす明るい夜明けだったのだが、私はそれが夜明けなのか薄暮なのかの区別すらつかなかった。やがて記憶が戻ってくる。なぜこんなことになったのかと考える。まずもう10年に一度もないことなので怖かった。何が起きたのかと思った。

 ウオトカやジンで13度ぐらいにして飲むと、ちょうど日本酒と同じだから、ジョッキ4杯は、500×4で2リットル。日本酒を2リットル飲んだと思えば(一升瓶は1.8リットル)、ふと寝入ってしまったことにも納得する。それもビールと同じ感覚でグビグビである。日本酒を飲む何倍もの速さだ。

 私はうまそうな日本酒の一升瓶もよく買ってくるけど、一晩で空けるということは(むかしはともかく)今はない。高くてもったいないので(笑)、なるべく3回ぐらいに分けて飲むようにしている。3回といっても三日連続ということではないから、一週間に一度しか飲まなかったら3週間は保つ、ということになる。

 それと、今でも一升酒を空けられるとしても、それにはたっぷり時間が掛かるだろう。刺身のような日本酒に合う肴を食いながら、すこし大きめのぐい飲みで、ゆっくりゆっくりと飲んで行く。私はいわゆる一気飲みとか、あんな愚かなことは絶対にしない。酒に対して失礼とも思っている。うまい酒を噛み締めつつ、ゆっくりと飲む。一升を空けるのに何時間かかるだろう。夕方6時に飲み始めて11時ぐらいか。この呑み方なら、翌日、宿酔いしない自信もある。

 もしも日本酒をこのホッピージョッキに注ぎ、4杯飲めと言われても私は飲めない。酒は気分のものである。日本酒には日本酒に合う形と大きさのグラスがある。本来は猪口であり180ccのコップですら大きすぎる。〝コップ酒〟とは下品な酒の呼称だった。それがこの場合〝ジョッキ酒〟であるからもっととんでもない。こんなジョッキに日本酒を注いで飲むような不粋なことはしたくない。というか不味そうで飲む気になれない。

 でも現実に私は、ホッピーというものの魔力で、それと同じ事をしていたのだ。酒精度5%のビールをぐいぐい飲む感覚で、13度の日本酒を短時間に2リットル空けていた。酔って当然である。



hoppy2 心から感嘆したのは、ここ二ヵ月のホッピー生活で、ただの一度も悪酔いがなかったことだ。上記の13度を2リットルの時も目覚めそのものはさわやかだった。多少記憶が飛んでいたが(笑)。頭も痛くないし胃袋がむかむかするわけでもない。スッキリである。

 近年私の酒の中心は果汁100%のグレープフルーツジュース割焼酎だった。これはオレンジジュースやリンゴジュースでは甘すぎるし、躰にいいからと野菜ジュースもやったが、それはやっぱり不味いし、といろいろ試して落ちついた結果だった。もちろんこの酒でも悪酔いはない。

 毎日これをやっているとたまに炭酸が飲みたくなる。そのときは生レモンを買ってきて搾りトニックソーダで割った。これも悪酔いはない。でもレモン絞りがけっこうめんどくさい。

 炭酸系の焼酎が飲みたくなったとき、時にはものぐさになり市販のカンチューハイを買って飲んだ。これだと炭酸割りのレモン杯でもグレープフルーツ杯でも手軽に飲める。
 しかし飲んでいるときは問題ないのだが、翌朝の目覚めの瞬間が気持ち悪かった。口の中に気味の悪い人工甘味料が残っているのである。これは気持ち悪かった。「あんな気味の悪いものが含まれているのか」と、とてもとても市販のカンチューハイなんて飲めなくなった。あれを平然と飲んでいるひとはかなり味覚が鈍い。

 ホッピーの目覚めのさわやかさはすばらしかった。
 果汁100%ジュースがそうであるのは当然である。無添加の果汁100%なのだから。
 逆にまたあれこれ添加してあるカンチューハイがさわやかでないのも当然と言える。味の素が入っている味噌汁を一口飲めば、「あ、はいってるな」とわかるのと同じだ。
 ホッピーのさわやかさは讃えられる。



kinmiya これからはまたスーパーでレギュラー2本、ブラック2本を買ってくる生活に戻ろう。買い足すのを忘れると、冷えるまで半日待たねばならず、辛い思いをするかもしれないが、まあそれがまともな生活。

 焼酎のほうも原点である写真のキンミヤ600ccにする。しばらくは、そう来年の夏までは、もうウオトカやジンを割るのは禁じ手にしよう。

 すぐに涼しくなり、それを通りこして寒くなる。秋も深まれば日本酒熱燗の季節だ。
 むかしは暑いほど部屋を暖め真冬でもビールを飲んでいたが、いまは暖房も極力使わないようにしているから、しぜんに冷たい飲物とは縁が切れる。これも四季折々の智慧。
 私はシナ人は嫌いだけど、彼らの生活姿勢の基本である「冷たいものを躰にいれるのはわるい=温めて飲む」という発想には共鳴している。



 夏に関することばでいちばん好きなのは、「ああ、また大嫌いな夏が行っちゃうのね」だ。
 暑くてくどくてしつこくて強引な夏なんて大嫌いなんだけど、背中を見せられるとみょうにさびしい。

 今年もそんな季節になった。そんな夏への未練も、さわやかな秋が来たらきれいさっぱり忘れる。だから短い期間、いまだけでも大嫌いな夏の去って行くさびしさを感じてやろう。いつしか蝉も、ミンミンゼミからツクツクボウシになっている。
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  1. 2012/08/22(水) 09:02:14|
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