「居酒屋店主と妊婦の闘い」に関する私見②──海原雄山はどっちの味方か!?

寿司屋のカウンター。注文を聞かれて若者が迷う。すると店主が怒鳴りちらす。
「なにぐだぐたと迷ってんだ、この朝鮮人野郎!」
 
ここのところ正確には覚えていない。
「朝鮮人じゃあるめーし、ぐだぐたと迷ってんじゃねーよ!」
「ぐだぐた迷ってんじゃねーよ、てめーは朝鮮人か!」
 
まあニュアンスはわかってもらえるだろう。注文をサッと決められない客を朝鮮人かと侮蔑したのだ。
そういう威勢のいい?口の悪い店主が売り物の店なのだ。常連は苦笑交じりにそれを受けいれ、楽しむのが粋ということなのだろう。この店では。

かといってこの「朝鮮人」にさほど深い意味はない。大橋巨泉が自分達江戸っ子(笑)は、あいさつがわりに「バカヤロー」と言っていたと語っているように、この場合のバカヤローに相手を否定するような深い意味はない。もっと軽いものだ。

この寿司屋のオヤジの「朝鮮人」も、民族差別というほどの深い意味はなく、巨泉の言う「バカヤロー」程度だ。つまらんヤツだとは思うけど。でもいきなりそんなことを怒鳴られたらおどろく(笑)。

※ 

初めての店で、注文に戸惑っただけでいきなり「朝鮮人野郎!」と怒鳴られた若者は、静かに店主に言い返した。
「おやじさん、おれが朝鮮人でなくてよかったね」。

これは、それを近くで見ていた五木寛之さんが書いた話だ。「ちかごろの若者もすてたもんじゃない」と誉めていた。

※ 

最近の話ではない。たしか初期の「流され行く日々」にあった話だから古い。
これを読んだあと、「いい話ですね」と先輩と語りあった日を思い出す。日教組教員に自虐史観(当時そんなことばはなかったが)を植えつけられ、私がまだ今のデヴィ夫人みたいに朝鮮贔屓だったころ。
自分が当事者だったら、その若者のように穏やかだが強かに言い返せたろうかと考えた。

もちろんウヨクサヨク自虐史観に関係なく、こういうことを言う店主は最低である。それは朝鮮が好きか嫌いかとは関係ない。

私がツイッターから足を洗ったのも、チョンとかチャンコロとか汚いことばが多すぎることが一因だった。嫌いであること、批判することと、そういう用語を連発することは別物だ。欧米に行ってJapと呼ばれることがどれほど不快であるかを経験すればわかる。
ネット上でそういうことばを連発して国士を気どっている連中が井の中の蛙であるのはまちがいない。


なんともいやな店主である。そしてまたこんなのを粋として許している常連も気味が悪い。こういうのが許される〝文化〟が嫌いだ。
こんな店とは知らずに入ってしまった若者が、穏やかに、しかし確実にカウンターブローとなる一発を返したのが小気味いい。同じ「気味」を使っても、「気味悪い」と「小気味いい」じゃだいぶちがうな(笑)。

※ 

こんな古い話をなぜ書いたかというと、前記の「居酒屋店主と妊婦の闘い」に寄せられた意見(togetter)に、「こういう店主をのさばらせるきっかけとなった『美味しんぼ』の罪は重い」とあるのを見かけたからだ。つまり、そのひとの意見だと、「妊婦お断り。ソフトドリンクはありません。食事のみの客もお断り」という今回の舞台となった居酒屋は、『美味しんぼ』から影響を受けて誕生した、となるらしい。

大嫌いなきちがいサヨク雁屋哲がどう断罪されようとしったこっちゃないが、でも傲慢な店主とそれをもてはやす客、そういう風潮は『美味しんぼ』が生んだものではないだろう。ここに一例を引いたように、そのずっと前からあった。

むしろ雁屋哲はそれに批判的であり、そういう不見識な店を叩き潰す傲慢なキャラとして海原雄山を産みだした。今回の問題に雁屋哲を絡ませるなら、店ではなく客のほうだろう。

海原雄山(雁屋)がやったのは、「行列のできるような流行っている店」があり、「流行っているから店主は自信満々で傲慢」なのに対して、いかに料理や素材に関して不見識か、結果としていかにまずいか、味音痴の並ぶ行列なんてのがいかに愚かなことかを知らしめ、店主に猛省を促すことだった。
 
海原の批判は、今回の例で言うなら、「妊婦お断りという傲慢な店主」ではなく、「そういう店は許せない」と、インターネットという権力の力を借りて、その店を潰そうとした妊婦側に向かうだろう。もしも海原雄山がこの件に関して意見をいうなら、「妊婦お断りの店にゆく妊婦が悪い」だと私は思う。

雁屋哲が大嫌いだからこそ的外れの雁屋哲批判には反論したくなった。
と、この項の目的は「雁屋哲擁護」です(笑)。以上で終了。あとは餘談。

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私は威張っている店主の店になどぜったいに行かない。何度か経験している。腹は立ったが文句は言わない。早々に退散した。金持ちに連れていってもらった店だったし(笑)。

冬の北海道のカニ料理なんてのにもこんなのは多い。「うまいでしょう」の押し売りだ。そんなのは客が言ったら礼を言う程度でいいのであって、なにも言ってないうちに店側から強要されても困る。札幌に多い。 

そういうのって高級寿司屋とか凝った和食店みたいなイメージだが、じつのところどこにでもある。

私が腹立ったのに「威張っている立ち食いソバ屋」というのがあった(笑)。ただの礼儀知らずなのだろうが、ふて腐れた態度のおばちゃんだった。浦和競馬場に行く途中だったから南浦和駅のちかくだったか。一度で懲りて二度と行かなかったが、意地悪気分で通るたびに店内の様子をうかがった。いつもがらがらだった。客だってわかっている。たかが立ち食いソバ──しかもまずい──を喰うのに不愉快になる必要はない。やがてつぶれた。淘汰されて当然である。

「威張っているスーパーのレジ」ってのもあった。こちらが客なのに目下の者に対するような乱暴な口の利きかたをする。こんなのも「商売の方法」とかじゃなくて単にばかおばちゃんなのだろうが。でもそれでもまだ続いているから不思議だ(笑)。誰も抗議しないのかなあ。それとも「口はわるいけど意外に親切」とか。でもなんも気にしない私だけど、めちゃくちゃ馴れ馴れしい口の利きかたをされて愉快ではなかった。


今回の問題の焦点は

・店主の態度は傲慢だったのか!?
 
・妊婦夫婦の態度に横柄さはなかったのか!?

になる。双方に問題があり、起こる可くして起こった事件なのだろう。

私は店主が威張っているような店は大嫌いだけど、今回の例では、妊婦側によりイヤなものを感じる。それは私の嗅覚であり感覚でしかないけれど。
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