将棋王座戦・羽生を超えた渡辺──途絶えるイチローの記録

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27日朝から山形県天童市の松伯亭あづま荘で指されていた第59期将棋王座戦(日本経済新聞社主催)五番勝負第3局は、午後10時45分、147手で先手の挑戦者、渡辺明竜王(27)が羽生善治王座(41)を下し、3連勝で王座を奪取した。羽生前王座の連覇記録は19でストップした。

渡辺新王座は、7連覇中の竜王と合わせ、自身初の二冠となった。羽生前王座は1992年から保持していたタイトルを失い、王位・棋聖の二冠に後退した。羽生の王座19連覇は同一タイトル連覇の歴代最高記録。20の節目を目前にして途絶えることになった。(日本経済新聞)


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27日は王座戦5番勝負の第3局。朝9時からインターネットで生中継。
開始から観る。決着がつくのは午後9時ぐらいだから途中は抜けてもいいのだが横歩取りから激しい展開になったので目が離せない。午後にはもう羽生が優勢になり、あっさり1勝を返しそうなので、その瞬間を見ようとパソコンから離れられなくなった。勝っても1勝2敗で角番に変りはないのだが、とにかく急場は凌ぐ。気分も違ってくるだろう。

写真の局面で午後6時の夕食休憩。1時間。その間にあれこれ急いで用をこなす。7時から再開。2枚飛車で羽生の勝利は目前だ。まだ58手目。

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このときホームページ・ビルダーでつけている電子日記に「羽生完勝体制。でもここから渡辺には何度もひっくり返されているからまだ安心は出来ない」と書いた。書きはしたが、いくらなんでもこのまま押しきるだろうと思っていた。不安が現実となる。



77手目。3九飛車成で楽勝だ。
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インターネット解説も△3九飛成▲同角△同竜▲6二と△同金に▲7四桂なら△5九角▲7九玉△7八歩で▲6九玉は△7七角成と銀が取れる。「これは後手が勝ちですね」と控室。また△6二同金に▲5九銀は△7八銀成~△5九竜で「これも後手勝ちそうです」と控室で検討している木村八段と阿部四段。


そうなのだ。もうこの形になれば、解説通り羽生の勝利は確定していた。そうなるものと信じていた。
ところが羽生はここで4九龍とやった。これで形勢がおかしくなった。ただ一手で大きく動いた。大内九段は「逆転したんじゃないか」とまで言った。90手ほどで片がつくと思っていた急戦将棋はここから泥仕合。泥仕合になると渡辺は果てしなく強い。147手までもつれて渡辺が勝った。
羽生がストレート負けで19年間守ってきた王座を失った。偉大な記録が途絶えた。渡辺が羽生からタイトルを奪ったのは初。初めての2冠となる。

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2003年に渡辺の挑戦を退けた第5局が、有名な「羽生の指震え」だ。2対2からの決勝の一局、防衛の一手を見つけた羽生が着手するとき、激しく指が震え、指せないほどだったという。遥か上の世代、同世代と闘い勝ち続けてきた羽生にとって、一回り以上も年下の挑戦者は特別な存在だったのだろう。その後はずっと楽勝の防衛だった。そして今回登場した渡辺に将棋史に残る偉大な連覇記録を止められた。今後この記録の更新はまずあり得ないだろう。まさに天敵である。
渡辺は、羽生の書いた戦術書を愛読して育った将棋少年だった。時の流れ。



羽生の全盛時、奨励会で話題になっている中学生がいた。将来羽生を負かすとしたらあのこだろうという周囲の噂を聞いた中原十六世名人が、「そうか、羽生君もあのこに負けちゃうのか」と言って笑った(呵々大笑ではなく微笑んだ感じ)という話があった。小学校4年生で全国小学生名人になった渡辺(4年生の優勝は初)は入門のころから話題だったし、加藤、谷川、羽生に続いて4人目の中学生棋士になり、いかにも大物然としていた。しかし私は竜王戦以外での実績がない彼よりも、衰えることなく全棋戦で活躍する羽生を支持していた。竜王戦で二度渡辺に敗れているがいつも羽生応援だった。とにかく渡辺は竜王戦以外での実績があまりにすくなかった。羽生を倒す若手の刺客として認めるには成績が偏っていた。

今回のストレート王座奪取で渡辺が羽生の力を越えたと認めざるを得ない。



といって私はアンチ渡辺でもない。このひとの将棋はおもしろい。以前見た山崎とのNHK杯戦など、終盤の捻り合いがすさまじく、息を呑むような激しい展開に、そのとき競馬場に行かねばならず、録画もしていたからあとで観ればいいのだが、テレビから離れられなくなってしまったことがあった。
世代として私は中原名人に憧れた世代だし、時代激変という意味では谷川名人誕生の方が遙かに鮮烈だった。そのときひょんなことから月刊プレイボーイにその記事を書いたっけ。あの雑誌ももうないのか。

それでもいまショックを受けているのは、チャイルドブランドと呼ばれ将棋界を席捲した十代の羽生世代を20年以上も観てきたからだろう。羽生は何度も敗れているが、それは同世代の森内や佐藤との対戦であり、すこし年下の深浦や三浦に敗れたことはあったがすぐに取りかえしている。

世代交代的な意味あいはあまりない。二十代で強いのは渡辺だけだ。羽生世代は二十代の時に全タイトルを独占して、森内、佐藤、丸山、藤井と、同世代で奪取防衛が続いていた。いまも羽生、森内がいて、すこし年下の久保がいて、二十代は渡辺ひとりだけだ。先日まで廣瀬ががんばっていたが羽生が王位を奪還したように羽生を超えるところまでは行っていない。

20局以上羽生と闘って勝ち越しているのは、引退棋士を含めても、渡辺ただひとりだ。いわば羽生キラーである。これで羽生から見て14勝18敗。羽生も渡辺に対してはおかしい。優勢な将棋を何度もひっくり返されている。渡辺の底力だが、贔屓目には羽生がひとりで転ぶような形が多い。確実に苦手意識があるのだろう。今日の敗戦も羽生が転んだものだ。



午後9時に寝て午前3時に起きる生活をしている。昨夜は王座戦を観ていたから終局が午後11時近く、眠くて眠くてそのままダウンしたが、よほど羽生が負けたことが悔しかったのか夢にまで見た。5時に起きたが、なんとも不愉快な目覚めになった。我ながらおどろいた。そんなに悔しかったのか(笑)。

イチローの偉大な記録が途絶える。それはまあ初夏の頃に、今年はもう無理なんだろうなあと、すこしずつ認めていたから、残念ではあるけれど、しかたないかとも思う。ICHIRO51というすばらしいサイトが「現在のヒット数と最終的なヒット数予測」を毎日出してくれるのだが、それがずっと今年は180本程度のままだったので諦めざるを得ない気持ちになれた。今年は無理なんだと哀しい気持ちで確認していた。

武豊のJRAでの連続G1勝利記録も風前の灯火となっている。デビュー2年目のスーパークリークの菊花賞勝ちから続いてきた記録だ。一応スマートファルコンで統一G1を勝っているが、あれと中央のG1は価値が違う。秋天、JC、有馬……勝てそうな騎乗馬もいないようだし、いよいよ途切れてしまうか。スマートファルコンでJCDを勝てば一応記録は続くが……。



イチロー、武豊という天才アスリートの成績が落ち目だ。それは肉体的なものなのだろう。
将棋も、興味のないひとには意外かも知れないが、「最強は25歳」ともう結論?が出ている。将棋も挌闘技なのだ。むかしは精神的にも充実する三十代半ばが最強と言われていたが、今はもう社会人としての常識とかそんなものは関係なく、アスリートとして体力気力充実する25歳が最強というのが定説だ。羽生が七冠を達成したのもこの年齢だし、体力的にこの年齢でないと無理と言われている。脳味噌はもう二十歳過ぎから退化して行くわけだし。
羽生がいま衰えてくる四十代、渡辺が最強の二十代半ばにいる。



ここのところの対渡辺戦の流れから、5番勝負で2連敗したからもうダメだろうなと諦める気持ちはあった。それでも今日の将棋は確勝と思っていたからショックは大きい。ひとつは返して欲しかった。

気になるのは、もう何年も前から囁かれている、そしてかなり確実な現実らしい羽生夫妻の不仲だ。週刊誌ネタにもなっている。さいわい男女ネタではない。でもだからこそよけいにひどいように感じる。元芸能人の妻は娘を連れて家を出ていて、豪邸にひとりで住む羽生が近所に回覧板を届けたとか、ギスギスした話が書かれていた。
こんなことを一ファンが今更言ってもしょうがないが私はあの結婚を好ましいとは思わなかった。あんな派出好きの芸能人ではなく、周囲はもっとしっかりした娘を世話してやれと思った。将棋界の宝なのだ。でも世間知らずの羽生が雑誌で対談したきれいな娘を好きになってしまったのだからしかたない。内助の功どころか内から足もとを引っぱられる現状だ。
そういう状況を加味すれば、別居状態という苦しい状況の中でよくぞここまでがんばっているとすら言える。この解釈のほうが正解だろう。今の羽生はその精神的苦痛で八割の力しか発揮できていない。名人失冠も王座失冠もそれが原因だ。

一方、渡辺の方は年上の賢夫人として有名だ。竜王戦で羽生に3連敗と追いこまれたとき、渡辺を励ます夫人のブログが話題になった。といってわざとらしいそれではない。ほんの1.2行だけの短いブログ。それも假名でひっそりとやっていた。マニアがそれを発見し話題になった。その1.2行の味わいが絶妙だったのだ。そこから渡辺は4連勝で逆転防衛した。7番勝負で3連敗から4連勝は史上初の快挙だった。それは羽生から見ると、これまた史上初の3連勝から4連敗をくったことでもある。渡辺は二十歳のときにできちゃった結婚をした。そのひとり息子も将棋に興味を持ち、将来プロ棋士の可能性を示唆している。渡辺のやっているgooブログがアクセス数で話題になるように公私共に絶好調である。
今回の結果はそれを無視しては語れまい。



これから将棋界は秋から冬にかけての大一番、竜王戦の季節を迎える。春の名人戦、秋の竜王戦が二大タイトルだ。渡辺に挑むのは丸山元名人。このふたり、不仲である。丸山の将棋に対する姿勢を渡辺が評価していないのだ。そんなふたりの対決。それもまたたのしみだ。さてどうなることか。
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  1. 2011/09/28(水) 07:12:31|
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