佐藤康光、A級から陥落──一期で復帰しろ!

将棋:名人戦順位戦A級 名人経験者の佐藤九段が降級 三浦八段が単独首位

 羽生善治名人(39)への挑戦者を決める第68期名人戦A級順位戦(毎日新聞社、朝日新聞社主催)8回戦の5局が3日、東京・将棋会館と大阪・関西将棋会館で行われた。三浦弘行八段(35)が谷川浩司九段(47)を破り、6勝2敗で単独首位に立った。

 一方、名人獲得2期の佐藤康光九段(40)は藤井猛九段(39)に敗れて1勝7敗となり、B級1組へ降級することが決まった。名人経験者のA級からの降級は、塚田正夫名誉十段、加藤一二三九段、米長邦雄永世棋聖、中原誠十六世名人に次いで史上5人目。

 佐藤は名人・A級に連続14期在籍。タイトル獲得は計12期で、永世棋聖の資格を持つ。だが、今期は実力を発揮できず、接戦の末に負けるケースが多かった。(毎日新聞)


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佐藤は強い。必ずまた復活するので私は気落ちはしていない。ただ「名人経験者A級陥落史上五人目」なのだが、塚田、加藤、米長、中原が、完全に棋士としての最盛期を過ぎての陥落なのに対し、佐藤はまだまだ若く指し盛りであり、名人戦リーグ以外では強いから、これはかなりの「珍記録」になる。そういう意味では「史上初」になる。



 塚田さんは木村から名人を取り、取りかえされ、完全に燃えつきての陥落、そして引退だった。加藤の陥落は六十半ばである。大山のように生涯A級はならなかったが、「神武以来の天才」として見事な陥落(って言いかたもへんだが)だった。米長、中原も同じ。天才が五十を過ぎ、燃えつきての陥落だった。陥落して間もなくフリークラスになり、数年後には引退している。名人経験者のA級陥落とはそういうものだ。ものだった。佐藤がへんな記録を作った。

 昨年も危なかった。心配してホームページに書いた。佐藤は名人リーグと相性が悪いのだ。対して抜群にいいのが森内。ふたりのこのリーグ戦における勝率はとんでもなくちがう。



 ところで名人経験陥落者四人に対して、塚田だけ「さんづけ」してしまった。こういうのが「世代」なのだろう。私が本気で将棋を始めたのは中原時代。大山、中原、米長、内藤、有吉、大内らが活躍していた時代だ。彼らは将棋ファンの私にとって現役プレイヤーだったから今も呼びすてになる。そのとき塚田さんはまだ『将棋世界』や『近代将棋』に随筆を書かれたり詰め将棋を発表したりして元気だったが、立場はもう「元名人」の将棋連盟会長であり、印象は好々爺だった。どろどろしていなかった。だから自然に「さんづけ」になってしまった。こういう世代感覚はおもしろいと思う。
 読みかえしていたら、「世代」とは無関係の木村名人を木村と呼びすてにしていることに気づいた。これは矛盾になるが、木村の場合は将棋の象徴であり、力道山や大山倍達に「さん」をつけないのと同じ感覚になる。

 そういえば若いプロレスファンが馬場のことだけ「馬場さん」と呼ぶのが流行ったことがある。あれも現役バリバリの馬場ではなく、前座でお笑いプロレスを展開する「社長レスラー」から好きになったファンなら、自然に「さんづけ」なのであろう。もちろんこれも馬場の二十代を知っている私は呼びすてだった。



 佐藤の二大缺陥は、名人リーグの成績が悪いことと、ほとんどすべての棋士に勝ち越しているのに羽生との対戦成績が悪いことだ。なのに名人にもなり、これだけの成績を上げているのだから見事としかいいようがない。歴史に残るA級棋士である。

 タイトル獲得数歴代6位は、大山、羽生、中原、谷川、米長についでか。これらの名を挙げるだけでいかに佐藤が一流棋士かが解る。



 私が佐藤にインタビュウしたとき、彼はまだ五段だった。そのときタイトル戦線に飛びだしていたのは羽生だけであり、佐藤も森内もまだ世に出ていなかったが、誰もがもうそれを確信していた。

 と書くと私が将棋記者みたいだけどそんなことはない。友人に頼まれてたまたまやった仕事。将棋の仕事は三回しかやっていない。私が直接インタビュウしたことのある超一流棋士は彼だけなのである(笑)。でも応援しているのはそんな身贔屓からではない。「中原世代」の私と彼らは世代は違うけど、いわゆる「島研」「羽生世代」のあの連中は将棋界を変えた怪物達であり、惚れないのがおかしい。

 佐藤は劣化していない。いまも棋王戦の挑戦者だ。必ず復活する。だがまだ四十歳の元名人のA級陥落は、やはり歴史的「珍記録」ではある。



「名人経験者」は、あと谷川、森内、丸山がいる。現名人の羽生もまた「名人経験者A級陥落」の資格?をもっていることになる。谷川、森内、羽生は永世名人だ。丸山はタイトルは名人しかない。まさか佐藤が丸山より先に陥落を経験するとは思わなかった。

 失礼ながら毎年心配しているのは羽生や佐藤より上の世代であり四十七歳の谷川だ。もしも陥落したら、潔いあの性格から引退してしまうのではないかと案じている。さいわい今年は挑戦者になるぐらい成績がよい。もういちど羽生谷川の名人戦が見たい。挑戦者になってくれ。これまた失礼ながら三浦じゃ盛りあがらない。

 佐藤よ、一期で復帰しろ!

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【追記】──一期でA級に復帰しました。さすが。ものがちがう。
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  1. 2010/02/04(木) 14:39:40|
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