将棋話──藤井聡太・考──撰ばれたひとの〝運〟についての考察──その1──書き始めるまでの流れ

●書こう書こうと思いつつ書かないままに時は過ぎ行く

 ずいぶんと前から藤井聡太四段のことを書こうと思っていた。将棋ファンとして、この稀有な天才に出逢えたよろこびを自分流に記して置きたいと。百年に一度の逸材なのだ。これは書かねばなるまい。
 昨年、8月9月に「史上最年少棋士、誕生!」を書いた。この時点では出遅れてはいない。しっかり書いているしよくやっているほうだ。が、その後、追記を書かずにいる内に年が明け、デビュー以来の連勝が続き、更にはAbema TVの七番勝負が始まり、その対局全てを観戦し狂喜乱舞している内に、ついには羽生を負かし、あれよあれよという間に彼は全国的大スターになってしまった。
 こうなるとますます「いつから書くか」が難しくなってくる。

 一応、下にあるように、去年の8月に「三段リーグ」のことを書いてアップしている。四段昇段を決めた9月にも書いた。この時点ではまあまあなのだ。問題はそのあとになる。誰にも負けないぐらい藤井四段の将棋を追って一喜一憂したが肝腎の文章で残していない。言いわけはいくつかあるのだがそれはそれとして。


 プロ棋士としてのデビュー戦、加藤一二三九段との竜王戦の前に書こうと思った。2016年12月24日。デビュー戦の相手が現役最年長であり、藤井に更新されるまで史上最年少記録を持っていた加藤九段との年令差対決は話題になった。デビュー戦がこの組合せになったこと自体奇蹟である。熱心なクリスチャンである加藤は、自分の記録を塗りかえた少年との対戦がクリスマスイヴになったことを神に感謝したことだろう。

 これはすごい一戦だった。藤井から加藤の十八番である矢倉に誘導し(「せっかく加藤先生と対戦できるのだから矢倉で教えて欲しかった」と後日語る。好感度アップ!)、飛角銀桂全軍躍動する加藤に攻めるだけ攻めさせ、あわや木っ端微塵に粉砕されるという形にまでなり、絶体絶命の極地から、先手矢倉城の守りの要7八金にヒョイと6九銀を引っ掻ける。なんと、それで一手勝ちなのだ。瀕死の如き壊滅状態の藤井陣に詰みはなく、加藤が必至を掛けたなら、その瞬間に一気に加藤陣が摘むのである。背筋が顫えた。なんという将棋を指す少年だろう。どこまで読みきっているのだ。

 あまりの凄さに驚嘆し、書かないでいるうち、なんともすばらしいそれを詳しく解説された『将棋世界』が発売された。鈴木宏彦さんの書かれたこの観戦記が絶品だ。これはあとでスキャンして(たとえそれが違法であろうと)ここに転載して読んでもらおう。切り口といい知識といい、佐藤康光の感想の引用といい、完璧な観戦記だ。

 だがそれと私の個人的感想はまた別。どんな粗末なものであろうと私は私の感覚で書いておかねばならない。いつ書こう。タイミングをうかがう。


 加藤戦から負け知らずの連勝が始まった。新人の連勝記録は10連勝。それを達成する前に書こうと思った。まだ間はあった。「達成したら」ではない。「達成する前に」である。4月4日、そうこうしている内に「新人連勝新記録」を達成してしまった。またチャンスを逃した。

 なら連勝記録が止まったら書こうと思った。今度は「止まる前に」ではない、「止まったら」だ。13戦目の千田六段である。まだ千田には勝てない。ここで連勝記録が止まる、そしたら書こう。すると、なんと千田まで破ってしまった。強い。その後も止まらない。今度は「連勝が止まったら書こう」と思った。すると今度は止まらない。不滅の記録と言われた神谷八段の記録を塗りかえる快進撃。じゃあ三段リーグの13勝5敗の5敗はなんだったんだ、となる。

 と、出遅れ出遅れで書かないまま、ここまで来てしまった。
 目の調子がわるかった。これも大きい。将棋文章だけ滞っていたのではなく、目玉不調により、著しく書く文章量が減っていた。サイトもブログもほとんど更新していない。23インチのディスプレイで文字を大きくして最低限のものはなんとか書いていたが思わしくない。もっと大きなディスプレイを購入しようと計画した。そう思うと、「それが来るまでやる気になれない」になる。また遅れる。


 さて、では去年の9月から最近まで10ヵ月もうじうじしていた文を、今日7月28日からなぜ書き始めたか、だ。
 何と言っても大きいのは「4kディスプレイ」である。これを導入して、目の心配もなく好き放題に書ける、うれしいなあ、ということは別項に書いたのだが、実はこれが初めて体験する初期不良品だった。その判断に戸惑い、でっかい箱に詰めて返送し、修理されてもどってくるまでたいへんな苦労をした。acerである。臺灣ラブすこし下がる。やっともどってきて、満足できる4kディスプレイ環境が整ったのは7月25日、一ヶ月をむだにした。その意味では、それほどの日にちを置かず、すんなり書き始めたと言える。それだけ4kディスプレイはたのしい。

 もうひとつの理由は、藤井フィーバーがほどよく治まってきたことだ。とんでもない天才少年棋士の登場に、将棋ファンの藤井熱はますます燃え盛っているが、一般的には連勝が途絶えてだいぶ落ちついた。今後世間的に騒がれるのは、史上最年少のタイトル戦挑戦者になったときだろうから、しばしの平穏がある。今後の対局者を見れば、いかな天才少年でも「もういちどの連勝記録」はないだろう。充実の来年再来年はともかく、すくなくとも今年、またしても二度目の新記録連勝街道、はないように思う。もちろんあったらそれはそれで愉しいから期待しているけど、これからはB1、A級の精鋭が待ち受ける。いやもう既にAbema TVの企劃で、深浦、佐藤康光、羽生とA級棋士に3連勝したけど、今度はみな力が入ってくる。今後も3勝1敗のペースで勝ちすすむだろう。しかしさすがに連勝記録はないと思うがどうか……。

 このふたつの理由がほどよく噛みあって、今日やっと私なりの「藤井聡太・考」に手をつけた。書きたいテーマはただひとつ、彼のもつ「運」についてだ。


 段位はすぐにあがって行くだろうし、今更「聡太くん」も失礼だから、以下、敬意を込めて「藤井」と呼びすてにする。

続き→ ●藤井聡太・考──撰ばれたひとの運についての考察──その1──書き始めるまで
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  1. 2017/07/30(日) 00:08:00|
  2. 将棋

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