相撲話──大鵬の思い出①──私は大鵬嫌いの家で育った

●大鵬の思い出①
 
「訃報──大鵬、死す」という、大鵬が亡くなったと知っておどろいたという、ただそれだけの中身のない文に多くのアクセスをもらってしまった。何か読物があると思って来たかたは落胆したろう。申し訳ない。すこし遅れたが、私なりの「大鵬の思い出」を書いておきたい。

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taihou 大鵬は私が見てきた多くの力士の中で、文句なしに最強のひとである。相撲を見れば見るほどそう思うようになった。
 
 さいわいなことに私は大鵬のファンではなかった。だからこそ冷静に見られ、後々振返って、彼が最強であると確信できた。断言できる。
 だからこれは、当時大鵬ファンだったこどもが自分の時代を懐かしみ、讃歌する文章ではない。



 ちょうど今サイト用に「あのころは最高だったか!?」という文を書いている。趣味に関して、そういう言いかたがある。野球のようなスポーツや将棋のような室内ゲームまで、「あのころが最高だった。いまはつまらん」という言いかたである。

 同世代の連中がそれを口にするたびに、私は「そうかなあ」と疑問を持ってきた。だってむかしより今のほうが断然面白い。それをまとめあげる前に大鵬に逝かれてしまった。

 私には自分がこどもだった時代、趣味を始めたばかりの初心者だった当時を、「最高だった、あのころはよかった」と讃える感覚はない。だから競馬や将棋等で「あのころはよかった」と言うひととは考えが合わない。
 そういう私が、自分の好き嫌いとは関係なく、客観的に見て、史上最高の力士は大鵬だと思う。文句なしに。



 やわらかく、懐が深く、足腰が強く、そして速い。万能だ。
 当時の、それまでの力士が型で語られてきたことによるイチャモン「大鵬には型がない」に二所ノ関親方が反撥して言った名言。「型のないのが大鵬の型」。オールマイティなのだ。

 このあたりからもそれまでの相撲の常識を覆していたことが判る。力士は、得意技とか、右上手を引いたら、とか、「この形になったら負けない」という〝型〟で語られてきた。大鵬はそれを超越していた。なんでも出来た。唯一出来なかったのは、背中を反らすのが苦手だったから、うっちゃりぐらいか。
 
 それにしても二所ノ関親方はすばらしい名前をつけてくれた。大鵬という四股名は、旧型のなんとか山やなんとか川ではない。この抜群の名前でより光り輝く。


 こどものころは周囲の女の影響を受ける。受けてしまう。小学生だった私はその影響を受けた。
 母と姉が柏戸好きの大鵬嫌いだった。たぶんあれは女のひねくれ根性だったのだろう。美男で文句なしに強い、というか強すぎるものへの反感である。下がり眉の、ハンサムとは言い難い柏戸贔屓は、判官贔屓のようなものであるが、それとはまたすこしちがうようにも思う。母と姉の大鵬嫌いは、一種の嫉妬にもちかいだろう。自分達とは無縁の存在に対する。
 ブスが最高級のハンサムにはどうせ無理と近づかず、自分でも落せそうなのにちかよるのと同じ感覚だ。わたしゃちょうどそれぐらいだったので、ブスに言い寄られてこまったもんだった(笑)。

 もうひとつ言える。前記の「型」だ。一直線の柏戸には型があり、わかりやすかった。万能の大鵬はなんでもありで、わかりづらい。母や姉にとって型のない大鵬は理解しづらい力士だったのだろう。
 柏戸は直線であり剛、大鵬は曲線で柔だった。 


 いまでもよく覚えていることに、千秋楽の柏鵬全勝同士の優勝決定戦がある。すごい賞金の数だった。母と姉によると、呼びだしが持って土俵を回るあいだ、塩を手にした大鵬が懸賞の数を数えていたのだという。口許ででもわかったのだろうか。それを卑しい行為であるとふたりは批難していた(笑)。
 
 その影響を受けて私もそう思ったのかというと丸まる影響を受けたわけでもない。ただこどもであるから理論的な反論は出来ない。懸賞金の本数を数えるのは下品なのかなあと漠然と思っただけである。重要なのは、大鵬が負けると拍手して喜ぶという環境で私は育ったことだ。いま「大鵬が史上最強!」と断言する私は、アンチ大鵬だった。(続く)
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  1. 2013/01/31(木) 05:00:08|
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