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藤圭子&沢木耕太郎「流星ひとつ」考.22──沢木の『流星ひとつ』を買うひと、とは

ryusei

 多摩センターの啓文堂で『流星ひとつ』を立ち読みしているとき、私に購入の意欲はなかった。沢木の新刊だし、そのうち図書館にはいるだろう。そうしたら借りて読んでみよう。それぐらいの気持ちだった。買うなら文庫本になってからでもいい。それだけ私の中でも藤圭子は過去のひとだったことになる。沢木耕太郎もまた全作品を読んでいるけれど、かといって新刊が出たらすぐに買う、というほどのファンでもない。ただ、どんな作品も、絶対に無視できないすばらしい作家ではあるけれど。
 
 ところが立ち読みで〝とんでもないエピソード〟を知り、思わず背筋がゾクっとするほどの興奮を覚えた。私は迷わず本を手にしてレジへと進んでいた。


 
 電車の中でも読み進め、インタビュー構成という読みやすいものだから、その日のうちに読了したのだが、ブログに感想を書く気はなかった。話題の芸能ネタであるし、作者は人気の沢木耕太郎である。ベストセラーとなり、そこいら中に感想があふれると思っていた。
 
 ところがそうでもなかった。さほど売れなかった。それほど藤圭子は過去の人なのだろう。テレビのワイドショーではどうだったのだろう。藤が死んだときには日本にいなかったでテレビは見られなかった。ワイドショーでは、この本を取りあげて、ふたりの恋愛関係にも触れ、テーマとしたりしたのだろうか。いまその種のテレビをまったく見ないのでわからない。



 過去のひとである藤圭子の1979年、34年前のインタビューを読みたいと、この本を購入するのはどんなひとだろう。
 まず「誰がなんと言おうと藤圭子こそ最高の演歌歌手。大好きだ、最高だ」という演歌ファンは、沢木のこんな本は読まない。こんなものを買う習慣がない。彼らは日夜自殺してしまった彼女の歌を聴き、一緒に歌って鎮魂する。

 演歌歌手・藤圭子のファンが買わないとしたら、誰が買うのか。購入者として考えられるのは、一般読者からマスコミ人にまでコアなファンを多数持つ沢木耕太郎だから、「沢木さんの本は全部好き。全部買う」というひとたちだろう。この本を支えたのは「藤圭子ファン」よりも、こういう「沢木耕太郎ファン」だろう。いわば「本好き」のひとたちである。



 ではそれらとはまた別の、フツーのひとで、この本を買うのはどんなひとだろう。と考えて、自分が典型的なそれであることに気づく。

 すなわち、1970年の「藤圭子現象」を知っている世代、ヒット曲だけではなく、社会現象としてのそれを体験していて、そこに思い入れをもっている人々、である。「五木寛之の造語の〝怨歌〟」なんてのを知っているのも一条件となる。
 それがどれくらいいるのかわからないが、ベストセラーにならなかったことを思うと、さほどの数でもないのだろう。いや、購入者の数よりももっともっといると私は思っている。でも私が彼女の死を知ったとき、感想というか当時の思い出を書こうと思いつつも、「ま、それぞれが心の中にもっていればいいことか」と諦めたように、本屋でこの本を目にしつつも、あるいは一度は手にしながらも、「あの当時の藤圭子の思い出はオレの心にあればいい」と購入しなかったひとも多いように思う。

 私も前記の〝とんでもないエピソード〟がなければ、すこし立ち読みして、懐かしいような物悲しい想いにとらわれた後、、「自分の心の中にあれば、それでいい」と、購入もしなければ、こうしてブログに書くこともなかった。



 世間ではどんな評判なのかとAmazonのブックレビューを読んでみた。みなとてもよく書けていて、上手な文も多いのだが、なんとも悲しいことに、それはみな「宇多田ヒカルのファン」なのだ。藤圭子は彼女の母親でしかない。もちろん当時の輝きなど知りはしない。これはいくらなんでも悲しい。藤圭子の死は藤圭子の死、なのだ。「宇多田ヒカルの母親の死」よりも前に「藤圭子の死」でなくてはならない。そのとき、遅ればせながら私なりに藤圭子を偲ぼうと思った。(続く)
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  1. 2014/08/13(水) 13:16:46|
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