日本政治の悪弊──亭主が死んだら女房が立候補──永岡桂子


 これが悪弊!

 自殺した永岡洋治氏の妻・桂子さんが夫の選挙区である茨城7区から出馬する意向固める


8月1日に自殺した永岡洋治氏の妻・桂子さん(51)は、夫の選挙区である茨城7区から出馬する意向を固め、12日午後、地元で記者会見することになった。(Yahooニュースより)

 故・永岡議員は亀井派ながら郵政法案に賛成票を投じた。
 茨城の古河から東大に進み、ハーバードの大学院を出て、農林水産省に入る。当時から国会議員、総理大臣の夢を描いていたのだろう。地元でも飛び抜けた俊才であったにちがいない。しかしどんなエリートであろうと地盤がないと田舎選挙には勝てない。官僚を退任し満を持して出馬したのだろうに、二回続けて落選する。2003年、やっと獄舎に繋がれた中村喜四郎の補選で当選する。

 そうして今回の郵政法案とその後に噂された解散。執行部は賛成票を求める。次回の選挙には絶対的に強い元建設相・中村喜四郎が刑務所から保釈されて立候補してくる。こちらは日大卒と経歴はだいぶ落ちるが父親の代を継いだ生粋の田舎代議士。地盤看板カバンを揃えて選挙にはすこぶる強い。年はひとつしか違わないのに中村は初当選が27歳、永岡は52歳。まともに闘ったらまず勝ち目はない。執行部は「反対票を投じたなら次の選挙では公認しない」と迫ったのだろう。これは党執行部として当然。
 落ちたくない永岡はそれを受け入れ賛成票を投じた。亀井派の中では針のむしろ。あからさまに非難する議員もいたという。それもまた当然だ。

 自殺すると早速亀井が執行部の強引なやり方による被害者だと言い、「弔い合戦だ!」と叫ぶ。執行部は亀井派のいじめが自殺に結びついたと主張する。こんなことで自殺するような弱い男は国の舵取りを決める国会議員の資質に闕けているから自裁を嘆く気など毛頭ないが、この場合の「どっちが原因を作ったか」を敢えて選ぶなら、そりゃ「裏切り者、裏切り者」と責めた方だろう。
 しかしより大事なのは政治家としての肝っ玉。賛成票を投じたのだから平然と郵政法案賛成の派閥に鞍替えし、何食わぬ顔で押し通す図太さがなければ政治家はやって行けない。ゼネコン汚職にまみれながら保釈中の身で平然と立候補する中村喜四郎にはそれがあるが、ハーバード大学院卒のこの人にはなかった。すなわち政治家失格である。官僚でいればよかった。自分を見極める目がなかったということだろう。なんでそんな細い神経なのに政治家を志したのかわからん。郵政法案に関して最も衝撃的な事件だったこのことに私が触れなかったのもそれによる。この程度のことで自殺する人は政治家失格である。

 選ばれた職業に就くのには一芸に秀でた能力、凡人にはないプラスの能力が必要である。歌手やスポーツ選手を見ればわかる。ところが政治家の場合は特殊で、「あるべきものがないというマイナスの能力が必要」とよく言われる。すなわち図太さだ。普通の人のように誹謗中傷を気にしたりする神経、過去の自分の発言に拘泥するような神経、それがないことが政治家の条件なのである。
 この点において永岡氏はふつうの感覚の人だったのだろう。政治家の資質に闕けていた。私は彼の自裁という結末を悼む前にだったらなんで政治家なんかになったのだと感じた。新井将敬の場合とは事情が違っている。故人を批判しないことは日本人の礼儀であるから触れなかったけれど。

 だが女房が出てくるとなると話は別だ。なんというくだらないことであろう。茨城のような田舎県にはこのパターンが多い。今も狩野がそうだし、葉梨は娘婿だし、うんざりすることばかりだ。そういう中、この永岡は中村の事件の隙間狙いとはいえ、自力で議員の地位にたどりついた珍しいパターンだった。選挙の時には国会議員の世襲制と茨城の古い体質をを手厳しく批判したことだろう。だが今度やろうとしていることは同じだ。「当選」というやっと得た権利を手放したくないという慾得である。
 出てくる女房も女房だ。ヒラリーのように亭主以上に権力の座に興味があり亭主を操って大統領に押し上げたような女房ならともかく、どう考えてもこの永岡夫人は、東大からハーバードを出て農水省に勤めるエリート官僚と結婚した女房でしかなく、政治家になるために生きてきた人ではあるまい。せっかく得た地盤を失いたくないという後援者の希望で立候補を決意したのだろうし、後援者はまた「弔い合戦」という日本人の琴線に訴える一生一度のチャンスなのだから、もしかしたら刑務所帰りの中村に勝てるかも、と踏んだのだろう。

 中村は代議士の息子として子供の時から跡を継ぐことを前提として育てられたピュアな政治バカである。なにしろ名前だって世襲している。能力は知らんが日本の政治家としての世知には長けている。そのぶん脇が甘いから汚職に巻き込まれたりもする。自民党非公認でも公認の永岡女房には勝つだろう。盤石の地盤を持っている。それが茨城っててもんだ。しかし万が一永岡の女房が勝ったとしても、なんとも気分の悪い政治である。なんとかならんのか、この体質。

【附記】 橋本の女房出馬?
 というところに今度は橋本龍太郎の女房が出馬のニュース。
 橋本が小選挙区からの出馬を取りやめるとは前々から言われていた。日歯連事件(こんなことはどうでもいいが)以前に、首相時代に中国の女スパイと通じた国賊であるから当然の進退である。ところがここも代わりに女房が出るという。バカらしくて話にならん。なかなかの賢夫人と言われていた人だがなにを考えているのやら。もっとも夫婦仲はとっくに冷え切っているしオスとしての使命を終えた亭主に代わりこれからの残りの人生を国会議員として華々しく生きるのも悪くないと考えたか。わかるような気がしないでもない。


【附記・2】


 その後、女房は出馬せず次男が出ることになった。

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  1. 2005/08/12(金) 08:14:49|
  2. 政治
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