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藤圭子&沢木耕太郎「流星ひとつ」考⑪──あらためて、もうひとつの「流星」、石坂まさを

 『流星ひとつ』の中で藤は、「女のブルース」の歌詞にしびれるほど感動し、曲も最高で大ヒット中なのに、なぜそのさなかに「圭子の夢は夜開く」を急いで出さねばならなかったのについて触れている。沢木も「女のブルース」を絶讃し、なぜあんなに次の曲を急いだのかと問う。あの時期、不自然なほど立て続けに新曲を出している。それもまた結果的には「流星伝説」に彩りを添えているのだが……。

yumehayoruhiraku



 どうやらこれは作詩家・石坂まさをの個人的トラウマ?が優先された結果らしい。当時私も、藤のオリジナルが好きだったから、世間的にはあの「十五、十六十七と、あたしの人生暗かった」が話題になったけど、「あんなにいいオリジナルがあるのに、今さらなぜむかしの歌の焼き直しをするのだろう」と疑問だった。「夢は夜開く」は園まりでヒットした手垢の着いた過去の曲だ。なぜそれの焼き直しを新星の藤圭子がせねばならないのか、しかも、ヒット中のオリジナル「女のブルース」があるのに、なぜそんなに急いで出さねばならないのか。



 石坂のトラウマとは。
 「夢は夜開く」は競作だった。それは覚えている。当時いろんなひとが歌っていた。バーブ佐竹を覚えている。だいぶ後になるがフォークの三上寛も自分の詞で歌う。最終的な勝者──というかスタートからゴールまでぶっちぎりだったらしいが──は園まりだった。だがあれはもっともっと多くの歌手が作詩家が挑んだ、たいへんな競作合戦だったらしい。曾根公明がネリカンで採譜した歌い継がれてきたこなれたメロディに、多くの作詩家が挑んだ。その中のひとつに売れない作詩家である石坂も関わっていた。結果は大敗だった。石坂はそれが不本意であり、納得できるだけの詞を書けば自分のものが認められる自信があった。

 藤圭子という絶妙の素材を得て、石坂はもういちど挑んだ。それが「女のブルース」が大ヒットし、高い評価を得ているのに間を置かず「圭子の夢は夜開く」をシングルで出した裏事情である。その他、一番が、ギターだけの弾き語り風に始まるのが藤のアイディアであること、「昨日マー坊、今日トミー」の歌詞が藤の実話からインスパイアされて石坂が書いたことなどが『流星ひとつ』で語られている。

 結果として、あの大ヒットにより、「夢は夜開くは園まり」だった世間常識を、自分の作詞した詞の「夢は夜開くは藤圭子」に変えたのだから、石坂としては仇討ち成就の心境だったろう。


 
 藤圭子の師匠としての大成功により、石坂は演歌のヒットメーカーとして息の長い活躍をするものと思った。まだ二十代の若さであり、曲も書けるのである。なかにし礼や阿久悠のような存在になるのではないか。彼らのようなオールマイティの作詩家ではないが、なら星野哲朗のような、独自の分野の大家として名を成すのではないか。そう期待した。いや期待じゃなくて、もうそんなの決まり切っていることと思った。

 いま、石坂は一応歌謡曲史的には大物であり、Wikipedia的には「ヒットを連発」となっているが、前記の大物作詩家と比したら、短い頂点の流星であり、その頂点がが藤のこの4曲であったのはたしかだろう。



 売れない作詩家だった三十歳前の石坂が、藤という素材と出会い、それまでにつもりつもった情熱を爆発させ、すぐれた作品を連発し、一瞬にして燃えつきた、という感じが、私にはする。これまた〝怨歌〟だった。「十五、十六十七と、あたしの人生暗かった」は、藤よりもむしろ中卒で作詩家を志し、ここまで耐えてきた石坂の心境だったろう。
 演歌の作詩家であるから、本来なら四十代五十代にもっと熟した作品を出すはずなのだが、それもない。藤と一緒に燃えつきたひとのように思える。そしてそれもまた「藤圭子伝説」の一端を担っている。石坂が、ポップスの作詞までこなす器用な息の長いヒットメーカーとなり、いまも健在だったなら、藤の伝説もまた色を変えてくる。しかしそんなことはない。藤と石坂は双子の流れ星だったのだから。



 藤の自死を知ったとき、私は自分なりの藤圭子の思い出、あの衝撃の登場の時代を書いておきたいと思った。仲間うちでの読み物として、ホームページのほうにひっそりと書くつもりだった。数日が過ぎ、そんなことに意味はないかと書く気が失せた。しかし二ヵ月後、緊急発刊された沢木の『流星ひとつ』を読んで、やはり書いてみたいと思うようになる。そうしてさらに半年餘の時をおき今こうして書いているのだが、最初に書きたいと思ったときから、常に心を占めていたのは〝もうひとつの流星〟石坂まさをのことだった。それをここに書いたので当初の目的の半分は達成されたことになる。



 当時、藤圭子の師匠として二十代の石坂さんの写真を初めて雑誌で見たとき、「漫画家の赤筭不二夫に似ているな」と思ったことを覚えている。ネットで探したが若い頃の写真は見つからなかった。でもこの写真からも雰囲気は感じてもらえると思う。

ishizaka

 2013年3月、藤と同じ年に亡くなっている。訃報に接し、藤はコメントを出したのかと探したが見つけられなかった。それは私が検索下手だからでもあるが、たぶん出していないと思う。そのほうがいい。燃えつきた流星同士、お決まりの形式的なコメントなどないほうがいい。(続く)
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  1. 2014/07/27(日) 13:22:18|
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