スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

藤圭子&沢木耕太郎「流星ひとつ」考⑧──もうひとつの「流星」、石坂まさを

 藤圭子を、芸能界を一瞬にして席巻し、巨大な光を放ちつつ、あっと言う間に流れ去った「流星」としたのは沢木の秀でた感覚だが、藤を流星とするなら、私は同時に「石坂まさをというひとも一瞬の輝きの流星だった」と思わずにはいられない。「藤圭子」を語るなら、私は彼女の初期の大ヒット曲を作詞し、一部は作曲も担った「石坂まさを」を語らずにはいられない。



 藤圭子を語るとき石坂まさをを語るのは常法だ。「一緒に世に打ってでた戦友」「最高の楽曲を提供した師」として、石坂抜きに藤圭子は語れないほどである。
 この文を書くのにネット検索したら、晩年の石坂は糖尿病から失明し満身創痍の状態だったとか。そんな中でも口述筆記で自伝を書いていて、その内容には「藤圭子母子に送る壮絶な檄文」とか、そんな形容がされていた。途中で亡くなってしまったので、いまのところ発刊の予定はないようだ。

 大ヒット曲を連発した藤と石坂は、やがて藤人気が鎮静化し(とはいえ演歌歌手はこれからが営業でまだまだオイシイ)、藤が専属のRCAを離れるときに縁を切っている。このとき石坂は「藤の移籍料」として数千万円を受けとったことが『流星ひとつ』で暴露されている。弟子の巨額の移籍料を師匠が懐に入れるのだから、この辺もキレイゴトの世界でないことがよくわかる。もっとも、その後にまた交友は復活したらしい。藤圭子というひとは、同じ男と結婚離婚を繰り返したり、常人にはわからない不思議な感覚をもっている。



 私が石坂に関して触れたいのは、そういう藤圭子の「師匠」や「戦友」としてではなく、ごく純粋に「シンガーソングライター石坂まさをの短い絶頂期」についてである。気分としては「藤圭子とは無関係に、シンガーソングライター石坂まさをの……」としたいが、さすがにそれは無理な気がする。藤圭子という素材を得ることによって石坂の才気が世に出たことは否定できない。なにしろペンネーム「石坂まさを」を使い始めるのも藤の作品からなのだ。悪声でありレコード会社に受けの良くなかった藤に注目したのも石坂の慧眼だ。やはり別々には語れない。しかしまた藤圭子の歌唱を抜きには語れないが、あの時期の石坂作品が最高の輝きを放つすぐれた演歌作品であることもまた絶対的事実だろう。前述した「女のブルース」は、藤の歌唱、猪俣の曲の良さもあるが、歌詞その物としても高い完成度を誇っている。

 あの時期、藤圭子という歌手を発掘し、コンビを組むことにより、作詞作曲家石坂まさをも、巨大な光を放った。それ以前の無名の時期、その後の凡庸さを考えると、石坂もまた流星だったと思える。



 藤と石坂を「デビュー前から同居」と書いたが、もちろんふたりは男と女の仲ではない。当時の石坂は27歳の売れない作詩家だった。まだ27歳ではあるが中学を出てからずっと作詩家を志して活動してきたから、それなりに年数を積んでいる。一応レコード会社の専属作詩家の地位は得ていた。ヒット曲はまだない。それが流しをしていた藤と出会い、惚れこみ、自分のボロ家に同居させ、自分の作品でのデビューの日を夢見るのである。同居は藤の母親も一緒だった。



 この「藤と石坂の初めての出会い」に関しても、クールな藤は『流星ひとつ』で伝説の定番を否定している。石坂がたびたび口にしていた、「流しをしている藤と劇的な出会いをし、衝撃を受けた。この娘にかけようと思った」のような発言を、「石坂さん、よくそう言うけど、その前に会っているんだよね」と暴いているのだ。といってそれは、絶縁した石坂のウソを暴くというような趣ではない。嘘をつくことなく、正直に、ありのままに生きたい藤圭子として、「石坂さん、あんなつまらないウソついてんだよね」と笑いとばす感覚だ。


 
 石坂のボロ家に同居してデビューを目指す、石坂・藤師弟だが、麗しい師弟愛ともまたちがうことが『流星ひとつ』で披露されている。石坂は女癖が悪く、女と見ると誰でも口説き、口説いた娘の隣に母親が居たら、それも口説き、それでいて口説いたことすら忘れるというとんでもないひとだったらしい。藤にも「ちょっと疲れたからあそこのホテルで休んでいこうか」と誘ったりしたとか。藤は「よくあの家にいて無事だった」と笑って回想している。それはなにもなかったからこその回顧だったろう。藤の初めての男は後に結婚する前川清だと言われている。後にごたごたしたとき、藤の父親もテレビでそう喚いていた。
 私はこどものころ貧しかったとかいうことよりも、マスコミに載せられ、あることないこと記者会見で喚いているこの父親を見たとき、しみじみと彼女の不幸な育ちを思った。金銭ではない。家族愛として。

 二人の結婚は、23歳と19歳の演歌界のスター同士の結婚である。これはすごいことだった。この時期にスターのふたりが一緒になるというのは聞いたことがない。
 いまも思い出すのは、私の周囲の藤圭子の大ファンがこの結婚を心から祝福していたことだ。「前川ならいい」と。(続く)
関連記事
  1. 2014/07/25(金) 10:00:22|
  2. 芸能
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<藤圭子&沢木耕太郎「流星ひとつ」考⑨──前川清との結婚 | ホーム | 将棋話──勝率9割でも届かない1位の座──最強羽生の前に立ちはだかる巨大な壁>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://moneslife.blog.fc2.com/tb.php/1189-588f0d67
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

fc2moneslife

Author:fc2moneslife
2001年に始めたサイトMone's World--http://monetimes.web.fc2.com/の出張版ブログ【木屑鈔】Boku-setsu-shouです。
2005年からやっているライブドアブログから引っ越してきました。FC2のサイトは2007年から利用させてもらっていました。これでやっとサイトもブログもFC2で統一です。
メールは、moneslife2000@kpe.biglobe.ne.jpまで。

最新記事

カテゴリ

未分類 (0)
大相撲 (32)
落語 (6)
生活 (84)
パソコン (76)
ことば (41)
読書 (29)
音楽 (50)
政治 (200)
テレビ (27)
インターネット (91)
漢字 (6)
オリンピック (11)
マスコミ (46)
NHK (2)
プロレス (6)
世相 (91)
総理大臣 (7)
映画 (21)
スポーツ (8)
園芸 (3)
将棋 (69)
Jazz (7)
競馬 (19)
芸能 (32)
旅行 (10)
格闘技 (4)
漫画 (14)
橋下徹 (16)
タバコ (4)
Rock (2)
中共 (11)
宗教 (9)
週刊誌 (7)
皇室 (9)
地震 (39)
台湾 (6)
石原慎太郎 (10)
CM (2)
きっこ (23)
地デジ (7)
朝鮮 (23)
国民栄誉賞 (2)
ツイッター (8)
女子サッカー (1)
野田聖子 (9)
訃報 (10)
ブログ (11)
飲食 (11)
電王戦 (2)
竹島 (9)
靖國神社 (6)
デヴィ夫人 (6)
酒 (4)
節電 (1)
ホッピー (5)
小沢一郎 (9)
Windows8 (2)
たかじん (5)
島耕作 (1)
物品 (3)
テレサ・テン (2)
選挙 (8)
佐川急便 (8)
猫 (1)
白川道 (1)
サヨク (14)
麻雀 (1)
郵便 (1)
通販 (1)
Asus Memopad (1)
文章 (2)
携帯電話 (1)

月別アーカイブ

カテゴリ別記事一覧

検索フォーム

リンク

このブログをリンクに追加する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。