「岳 みんなの山──石塚真一」を読む──麻生太郎のマンガ好き

gaku 2008年のマンガ大賞に撰ばれた「岳 みんなの山──石筭真一」を読み始めた。
 こどものころからいまに到るまで自慢できるぐらいマンガは読んでいるが、ここのところ定着気味。定番ばかり。マンネリ。

 それを恥じてはいない。自然と思っている。いまも毎週「少年ジャンプ」を読むという麻生太郎のほうが異常だ。私は小学生のときから読んできた少年サンデー、マガジンを、三十代で卒業した。これでもかなり問題だろう。実際当時私は「おれはこのまま一生サンデーマガジンを読み続けるのだろうか」と自問した。といってタバコのように苦しんでやめたのではない。次第について行けなくなり疎遠になった。そりゃ小学生向けに二十代の漫画家が描いている少年漫画誌を三十代の男が楽しむというのは歪んでいる。卒業は自然だ。マンガにも年相応がある。

 麻生さんはよくもわるくも怪物である。といって私は、麻生さんのようにジャンプを読みたいとは思わない。何事も世代はある。だからこそビッグコミックもあんなに分派した。

 しかしそのことで言うと、(麻生さんはこのことにだけは触れられたくないようだが)、マンガというのは、おとなが子供向けに描くものだから、どうしてもコトバは難しくなる。その分、カナ(ルビ)が振られているので、わかりやすい。だからマンガ好きの子供は、コトバでは大人びる。大のマンガ好きだった私は小学校3年ぐらいのとき、近所の不勉強な中学3年生より、コトバでは大人びていた。

 まあ、あまりにレベルの低い地域の話なので、私がすぐれていたというより、周囲が遅れていたのだが。でもあのころ手塚治虫の「鉄腕アトム」には、「ヴァン・アレン帯」なんてコトバが登場していた。地球内部の「マントル層」とかもマンガで覚えた。それらを知っている小学校低学年の私と、マンガを読まず知らない中学生のあいだに智識差があったのは事実だ。
 マンガ好きの麻生さんがなぜ漢字を読めなかったのか不思議でならない。

 ここで、もしかして「その後の鳩山や菅もひどいひどいと言われながら麻生のようなことはなかった。麻生が飛びぬけてバカだった」と思っているひとがいるかもしれないので、念のために書いておくと、麻生の赤っ恥で懲りたことから鳩山や菅の原稿は、それこそスタッフにより小学生でも読める漢字にまでカナがふってあった。あれはあれで屈辱だったろう。それだけの話。

 麻生は「TVタックル」や「たかじん」に出演するが、絶対にこの話題にだけは触れさせない。彼なりに強烈なトラウマなのだろう。でもマンガ好きとしては「未曽有」を「みぞゆう」ではなく「みぞう」と読むなんてのは、マンガのフリカナで学ぶ典型例だと思うのだが……。 

kanren7●三年遅れの「麻生太郎漢字誤読論」

 


 と、最初から脱線してしまった。麻生さんじゃなくて「岳」の話。
 ビッグコミックをレギュラーを始めとして創刊号からぜんぶ読んでいるというのは私の数少ない自慢だ。
 しかし時の流れと共にいちばん好きだったオリジナルも今は買わくなくなった。コンビニで「風の大地」と「黄昏流星群」を立ち読みする程度。後々それらは単行本を買って読む。「毎週買う派」だったのに、すっかり「単行本派」になってしまった。スピリッツやスペリオールは手にすることもない。あとはモーニングやイブニングの「島耕作」ぐらい。
 それは正しいと思っている。いまの私がスピリッツの最新人気漫画に詳しいことは、AKB48の曲をカラオケで歌って若ぶるおっさんと同じぐらい滑稽だ。



「岳」のことは知っていたが立ち読みもしていない。そもそも立ち読みって申し訳ないと思うから5分以上しないし。
 その立ち読みも、「千円買い物したから5分の立ち読みは許されるかな」とか気を使う典型的小市民感覚(笑)。ほんと私は「今日はモーニングの島耕作を立ち読みしよう。その代わり何か買わないと。何か買う物はあるだろうか」と確認してから出かける。律義だ。



 マンガ大賞に撰ばれた秀作であることはもちろん、ストーリーも画風も確認してから、いわゆる「おとな買い」で入手し、読み始めた。漫画家志望ではなかったのに、浦沢直樹や弘兼憲史の絵を見て独学したと言うだけあって、浦沢的なタッチが随所に顔を出す。私にとって好みの画風というのは大事で、どんなに世間的に話題の作品でも自分好みでないと受けつけない。

 これはドラマでも同じ。どんなに話題の、おもしろそうな作品でも、役者が嫌いだと見ない。というか見られない。
 先日十数年遅れで松嶋菜々子と堤真一の「やまとなでしこ」を見てたのしんだ。でもどんなにおもしろいラブコメでも、あれが久本雅美と武田鉄矢だったら見ない。



 さんざん検討した結果の購入であるから当然なのだが、アタリでよかった。年をとると、「ハズレを嫌う感覚」が強くなる。

 私は山岳関係の本やマンガはけっこう読んでいる。楽しんでいる。マンガだと村上もとかの山岳モノが好きだ。沢木耕太郎の「凍」を読んだときは、指を失う恐怖に震えた。山登りに興味はない。多くのひとが魅せられるようにすばらしいのだろうとは思うけど、楽器演奏が好きな者として、凍傷で指を失う恐怖には耐えられない。浅田次郎の「プリズンホテル」にも指のない豪気な山男が出てくるが、やはりなじめなかった。



 いま「岳」一巻目の「写真」まで読んだところ。いい話だ。泣いた。
 どんどんひとが死ぬ。全員助かってのハッピーエンドはない。きつい。読んでいてつらい。でもそれが現実だろう。とても酒を飲みつつ読める作品ではない。
 15巻まである。じっくりゆっくり読んで行こう。

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【補記】──作者は茨城出身

 作者の石塚さんは茨城出身なのだとか。どこなのだろう。毎度言うが、茨城も福島寄り、栃木寄り、千葉寄りで、あれこれちがうのである。私の田舎は利根川を挟んだ千葉寄り。
 なんとなく気になる。でも「茨城県出身」という以上の情報はない。石塚というのはけっこうあった苗字なので、もしかしたら、と思う気持ちがある。いま41歳。アメリカの大学に行った……。もしかしてあの石塚さんちの息子なのではないか!?

【追記】──私なりの感想をこちらに書きました──2014/06/22

 『岳』に関してまともなことが書いてあると期待してここに来たかた、すみませんでした。すこしまともな感想をこちらに書きましたので読んでください。

●マンガ『岳 みんなの山』の感想──三歩は死ぬ必要があったのか!?
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  1. 2012/03/25(日) 03:00:34|
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