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ことば考──「劣化」について──たしかにそれは失礼な表現ではあるが

 Twitterで「女性の容姿に〝劣化〟と使うのは失礼だ。誰だって齢を取れば老化する」というフツーのおばさんのツイートがあり、その意見に賛同したのか、フツーのおばさんたちがRTしていた。



 容姿に対して劣化などと言うのはまことに失礼であり、慎むべきだろう。
 だが数回使ったことのある者として、こちら側の意見も言いたい。

 私が今までにこの言葉を使ったのは、【芸スポ萬金譚】に書いた 山口美江と、ナスターシャ・キンスキーの2回だ。ともに大好きなきれいなひとだった。それがこれでは、いくらなんでもあまりに、というような意味あいで使った。 

 そちらの記事、というか画像を見て頂きたい。私は若者言葉や流行り言葉が嫌いだから、まずめったに使わない。しかしこれらを見たとき、真っ先にそれが浮かんだのだからしょうがない。

 同じようなテーマで、松嶋菜々子の目尻の皺のことを書いたことがあるが、ここではそんな言いかたはしていない。39歳にしては目尻の皺が目立つけれど、充分にきれいであり、それは劣化とはちがうからだ。



 言いたいのは、女性の容姿に関して〝劣化〟と使うのは、それなりのモノを認められたひとに限って使われる、いや「使われるべきモノではないか」ということである。
 それは2ちゃんねる等で連発されている場合にも共通している。十代のときの輝くばかりのアイドルが四十代になり、かつての面影がなく、ひどいことになっているような場合に使われている。その〝落差〟に対して。ただし、いうまでもないが、その〝落差〟は難病とかではない。そんなことには誰も言わない。生きかたから来る容貌の衰えだ。
 三十代でも四十代でも、いやもっともっと齢を取ろうとも、年相応の魅力で輝いている人に、そんな言いかたはしない。



 と書いて私はいま、八千草薫さんを思い出した。有名人は呼びすてが基本だが、思わず〝さん〟をつけてしまった。こども心に「きれいなひとだなあ」と憧れた今年御年82歳の大女優だから見逃してくれ。むかしもいまも魅力的な八千草さんに、老化も劣化もないのは当然として。
 私は八千草さんの私生活を知らなかった。いまWikipediaで調べたら、宝塚をやめた後、26歳の時に19歳年上の45歳の監督と結婚して、50年添いとげたんだな。76歳の時に95歳の旦那を送っているわけだが、3度目の結婚だったというこの旦那も、八千草さんにはぞっこんだったようだから、しあわせな結婚生活だったのだろう。なんだか自分に照らしあわせて胸が熱くなった。

 では八千草さんと同じく「ウィークエンダー」の頃から、というか、もっと前のギター漫談(ウクレレ漫談の牧伸二の弟子)の頃から見ている泉ピン子に関して、劣化とか老化とか言うかというと、そういうこともない。なにひとつ興味がない。すると、それすら出て来ない。泉ピン子が実年令より若く見えても老けて見えても、なんの興味もない。ということは、老化であれ劣化であれ、口にするのは、それなりに興味があるからだ、ともなる。



 つまり、フツーのおねーさんが、フツーのおばさんになっても、誰もそれを〝劣化〟とは言わない。ただ年とったなと思うだけである。「娘十八、番茶も出花」という酷い言いかたがあるが、並の容姿でもそれぐらいの年齢の時は輝いて見える。それが四十になっておばさんになったからといって、「劣化したなあ」とは言わない。もし言うひとがいたら、それはこのコトバの使いかたを間違っている。

 私はTwitterでそれをつぶやいたひとを「自意識過剰」だと思う。「そうだそうだ」と賛同してRTしたおばさんも同じく。
 誰もあんたら並の女が年とったって、「年とったなあ。老けたなあ」と言うだけで、「劣化した」とは言わない。それは、よくもわるくも、ある種の選ばれた女に使われる言葉なのだから。



 と書いて、私は間違っているかも、と気づく。
 ツイートしたひともRTしたひとも、「フツーのおばさん」としたが、私は会っていない。彼女等の容姿を知らない。単なる推測だ。
 彼女等は、劣化というコトバに反応しているのだから、そう言われたことがあるのだろう。ということは、若い頃は山口美江やナスターシャ・キンスキーに勝るとも劣らない絶世の美女だったのかも知れない。
 当時の美貌の信奉者に「劣化した」と言われて傷ついたのだろうか。それに同意してRTしたひとも、それだけの美女だったのだろう。
 とするなら私は自分の不明を詫びる。恥じる。すまん。私は、あなたたちが美女であることを知らない。

 しかし、〝劣化〟と使うほどの美女が、それほど世の中にあふれているとも思えない。

 田嶋陽子が、「夫婦茶碗は女のほうがちいさい。男女差別だ」と喚いていた。あきれた。それと同じテイストをこのツイートしたひとにも感じる。まずまちがいない(笑)。本能でそう感じる。この感覚が見当違いだったら私に生きている意味はない。

---------------

【追記】──男の場合、自分の場合──6/24

 つい女性の場合に限って書いてしまったが、もちろん男も同じである。〝劣化〟と使うなら、水も滴る美男子が、ひどいことになった場合だろう。ただしこの場合、ハゲなんてのは関係ない。年相応に禿げるのは、むしろ年月を感じさせて男の魅力を増している。
 劣化は、髪の毛の量なんかには使わない。内面である。目許涼しい美青年だったのに、ろくでもない人生を送ったのか、目つきの悪い悪相のおやじになったりしたときに使う。



 髪の毛といえば、私がオヅラのようなカツラ使用者を嫌う理由もその辺にある。〝いい男〟の条件に髪の毛の量は関係ない。いい男であるためには髪の毛が必須、とカツラ擬装しているヤツが、本物のいい男になれるはずがない。むしろオヅラのような立場のひとは、薄毛を晒して、それでもカッコいいことで存在価値をアピールすべきなのだ。なのにカツラ。それも、白髪を交えた、いかにも年齢相応に工夫したカツラであることが、ますますものがなしい。
 ビートルズ世代のオヅラはギターコレクターでもあり、一度それをテレビで見たが、かなりのものだった。自身でもそれなりの演奏をする。でもそういうプラス面もカツラであることで、みなマイナスに作用する。政治の汚職、業界の擬装、何を語ってもそこに通じる。自分の存在価値を、カツラで壊していることに気づかないひとは、それだけでもうダメだ。ハゲは自分の生きてきた道筋であり、その人生の過程を隠しているひとが、いくらジャーナリスト然として、しかつめらしい発言をしても重みはない。



 と以上は世間話。次は自分のこと。
 先日、引きだしの奧にあった期限切れパスポートを手にした。何冊だったか、7冊かな。
 私はモノに執着しないのでいらないものはみな捨ててしまう。特に電子系のものは、パソコン類のハードもソフトも楽器のシンセサイザーやエフェクター等も捨てまくってきた。ぜんぶ持っていたらさぞ壮観だったろう。
 さすがに本を捨てるときは最初は戸惑ったが、一度割りきれると、高名な作家の高額の(これは後に知った)初版本から文庫本まで、捨てに捨てまくり、いまや「蔵書」と呼べるものは皆無の状態だ。筒井康隆、藤沢周平、高島俊男があるぐらい。厖大なマンガ蔵書もほとんど〝自炊〟して電子化した。いまHDDに150GBある。それでも初期のいがらしみきお(「ぼのぼの」より前ね)なんかは捨てられないのだから、まだすこしこだわりはあるらしい。それだけ〝天才〟いがらしに衝撃を受けたのだろう。
 パスポートは捨てられなかった。そこにあるスタンプだけで当時を思い出す手懸かりになるからだ。いわば良質の日記でありアルバムだ。捨てられなかったけど手にすることもなかった。引き出しの奥に眠っていたものを、たまにする整理で、たまたま手にした。



 外国で作ったのも2冊ある。日本製との完成度のちがいが目立つ。先端技術の日本製パスポートは精緻だ。最新のは顔写真等を収めたICチップが入っている。偽造は不可能だ。これ、当然ながら発展途上国で再発行してもらったら入ってないだろう。
 以前有効期間がすくなくなり、そういう国で作ったそれは、当時もう日本製は偽造されないように、顔写真がパスポートに溶けこむようになっていたのだが、外国で作ったそれは、ごくふつうにペタンと糊で写真が貼りつけられていて、いかにも偽造されたインチキのようである。これはこれでいとしい。
 そういやあやしい国で、よくパスポートを売ってくれと言われたものだ。日本人のパスポートは世界一の価値がある。



 貼られてある歴代のパスポート写真を見ていたら、かなしくなった。そこには何十年もの時の流れ、たしかな老化があった。問題はその老化の質だ。

 いまの自分を鏡で見て生きているから、私にとって顔はいつでも今の顔である。過去の写真を見て懐かしむ趣味もない。十代二十代の時のギターを抱えたコンサートの写真なんてのは他人を見るようで現実感とはまた別。
 歳月による老化は必然だが、趣向によってごまかされるものもある。たとえば今の私でも、大好きな猫に頬擦りした写真なんかだと、猫好きのいい表情をしているような気がする。しかしパスポートにあるのは「正面からのただの顔写真」である。これはごまかせない。そこにはむごい現実があった。

 私は、内面的輝きをもった男になりたいと願い、それなりの努力もして生きてきた。当時から今まで、それは結実するものと信じていた。疑いを持ったことはない。だが歴代のパスポート写真を見ると、そこにあったのは、成熟も充実もない、ほぼ5年毎の、「並の男の並の老化の記録」だった。若さが失われる分、それに代わるものが滲み出てくるのが成熟だが、それがない。むしろ智性が加齢と共に顔から消えている。どういうことだろう。精一杯努力してきたのだが……。ここにあるのはただの「老化」だ。いや、そこそこあった智性が消えているのだから、これは並の男の並の老化だが、紛うことなく劣化である。

 三十代のころの写真はなかなかだ。それなりの智性とやる気が顔に出ている。眼にも光がある。この男がこのまま年を重ね教養を身に着けて行けば渋くて智性的ないい男になるのではないかと期待できる顔をしている。
 ところが現実に齢を取った今、パスポート写真は「万引で捕まったおっさん」のような貧相な顔になっている。智性のかけらもない。交番の前に貼ってあってもおかしくない。泣きたくなった。
 そういや最新のパスポートは急いで作らねばならなくなり、深酒をした翌日、浮腫んだ顔で出かけたのだった。シャツもよれよれだ。ひどすぎる。いやこれが現実なのだ。認めねばならない。

 亡父の三十代と五十代の写真を比べると、劣化はない。七十代の父は枯れたいい顔をしている。
 私はなぜ劣化したのだろう。髪が薄くなったり、顎の線が弛んだり、目蓋が垂れてきたり、老化はしかたないが、脳と心磨きにはそれなりの努力をしてきたつもりなのに、なぜ顔から智性と品が消えているのだ。

 廃棄処分としてパンチで穴を開けられた古いパスポートと近年のパスポートとの差がひどすぎる。それを確認したときのかなしい気持ちは今も覚えている。美しく年を取るのは、男も女もむずかしい。

---------------

【追記.2】──消えた智性の理由発見!──6/27

 三十代のパスポート写真からはそこそこ感じられる私の目の輝きと智性は、どこに消えてしまったのだろう、消えた原因は何だろうと考えていたら、この自分の文を読み返して、その原因に気づいた。

 上に「あやしい国でパスポートを売ってくれと言われた」とある。日本人のパスポートは世界中どこにでも行けるから世界一価値がある。偽造パスポート、闇の世界ではダントツの人気であり、高額で流通している。言わずもがなだが、アメリカのパスポートは人気がない。経済的にも軍事力でも世界一だが、同時に世界一敵の多い国でもあるから、通行証としてはあまり価値がないのだ。いかに日本というのが特殊な国であることか。

 日本大使館があり、再発行が可能な国でなら、闇業者に自分のパスポートを売り、紛失したとして再発行してもらえば、その差額が儲けになるわけである。いくらだったかもう忘れてしまったけど(当時の旅日記を探せばわかるが)、再発行費用が2万円だとして、闇業者の言ってきた値段が5万円なら、3万円の儲けになるわけだ。闇業者はそれを何十万かで売るだろう。

 闇業者は、小金欲しさにパスポートを売る心の弱い旅行者を探している。蛇の道は蛇で、顔を見ればすぐにわかるのだろう、しつこく言い寄られているのがいた。私も、貧乏旅行者が巣くっているホテルに滞在したから、そのたびに声を掛けられた。だがすぐに「あ、こいつはちがう」と寄ってこなくなった。私は貧乏旅行者ではないのに、そういうところも見ておくべきだろうと取材感覚で泊まっていたから、彼らの嗅覚で見抜かれたのだろう。

 当時の私は、假りにそれをすれば百万円儲かるとしても一顧だにしなかったし、そういうことをしようとする日本人旅行者がいたら激しく怒っていたろう。日本人としての誇りを持てと。



 時は流れて、いま「5万円ぐらい儲かるのだろうか」と薄ぼんやりと考えているクソバカがいる。こいつは5万円欲しさにそんなことをやりそうだ。なるほど「万引で捕まったおっさんのような顔」にもなるはずである。私の顔から智性と品が消えたのは、紛れもなく私の責任だった。人間、貧すれば鈍するのである。かなしい確認をしたかなしい朝。怖くて鏡が見られない。
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