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将棋話──電王戦第四局、第五局に【追記】──メールをくれたHさんに感謝を込めて──「名人戦」のことを書いた夜

 コンピュータ将棋にとても詳しいHさんが、長文のメールでご意見をよせてくださり、私の観戦記の勘違い等を指摘してくれました。

電王戦第五局「GPS将棋、三浦八段に勝つ」

電王戦第四局「塚田八段対Puella α 持将棋」

 修正部分を下部に*マークで追記しました。

 Hさん、ありがとうございました。また何か気づいた点がありましたら教えてください。感謝しています。

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●仕事に対する私の基本姿勢──将棋、放送、競馬、その他あれこれ

 私は、マイナーではあるけれど、良質の仕事をこつこつとこなしてきたと自負しています。
 私と感覚のちがう同業者は、「おれは来た仕事は断らない。それがポリシーだ」と言っていました。依頼があった仕事は絶対に断らないというのです。どんな仕事も受けるのだから収入にはなるでしょうが、ずいぶんと質の悪いいいかげんなこともしていました。いわゆる団塊の世代というのは、最高最悪の競争社会を生き抜いてきたので、仕事を断ったら他人に取られる、二度と発注が来ないかも知れないという恐怖を抱き、注文を断れないようです。そのことにより、ろくに知らない内容の仕事でも、来たら全部受けてしまうのでしょう。井崎さんとか石川さんはこのタイプですね。上記のその理由をご自分たちで口にしています。



 ベビーブーマーの正しい意味を知らないひとは、なんでもかんでもおっさんを〝団塊の世代〟にしてしまいますが、私は正しい意味で団塊の世代ではありません。それは正真正銘の団塊の世代である兄と比べるとよくわかります。5歳上の兄と私では中学校のクラスの数が倍もちがいました。当然競争の限度がちがいます。兄のときは一組50人以上で12クラスもありました。私の時は40人で6クラスです。半分以下です。それほどちがうのです。ベビーブーマーとは、あの第二次世界大戦が産んだ異常な世界でした。兄の世代は先生に対して「ハイ! ハイ!」と積極的に手を挙げないと、永遠に指名されない(覚えてもらえない)世界です。目立ち根性がちがいます。私のときは、手を挙げなくてもふつうに順番で指名されてしまう世界でした。そして今その田舎は過疎になり、一年生と二年生が一緒に学ぶ「複式学級」とかいうのになっています。併せても20人もいない世界です。兄の世代と複式学級では、同じ学校でも全然ちがいます。団塊の世代のああいうひとりひとりの存在感が薄くなってしまう競争社会に生きてきたひとは発想がちがいます。何を考えるにしても段階の世代は独特の発想をします。そういう競争社会に生きてきたからでしょう。たとえば「カンナオト」なんてひとの目立ちたがり根性が典型です。私からすると「来た仕事はどんな内容でも必ず受ける」という発想は理解し難いものになります。

 私は彼らとは逆に仕事を選びに選び、納得できる数少ないものだけを受けてきました。「やっつけ仕事」をしたことは一度もありません。それは私の誇りです。後々恥じることのない仕事をするのが私の基本でした。



 将棋では、むかし「月刊プレイボーイ」から、本来それを書くはずだった弦巻というカメラマンが締切を守らず、ぎりぎりになって書けないと逃げてしまい、そこが白紙になってしまいそうだから助けてくれと編集者から電話が来たことがありました。電話が来たのが夜の9時、ぎりぎりで印刷所に放り込む締め切り時間は明日の朝の6時だとか。

 親しい編集者ではありませんでした。弦巻というひとが、ぎりぎりで行方不明になったため、錯乱状態に陥り、知り合いのライターに片っ端から頼んだけど全員断られ、そのときなぜか私が将棋好きだったことを思い出し、もしかしたら書けるのではないかと、わらにもすがる思いで電話してきたようでした。

 テーマは谷川が新名人になり「あたらしい時代が到来した」ことを、歴代の名人戦を振り返りつつ書くというものでした。書けるか書けないか一瞬考え、書けると判断し、受けました。ひどいものを書いて後々まで悔やむようになる可能性もありましたが、義を見てせざるは勇なきなりと、なぜかそのときは思いました。

 そのとき私が相手に出した条件は、「ワープロのシャープの書院を用意しておいてくれ」だけでした。使い慣れた書院を用意してもらえばなんとかなるはずです。逆に、それがないと量的に手書きでは自信がありません。まだPCではなく「書院」で書いている時代でした。私のは、固定型の大型のタイプだったので持参するわけには行かず、「用意してくれ」と頼んだのですが、今は、ユーザー辞書の入っている自分のワープロをタクシーで運べばよかったのだと気づきます。そのときは思いつきませんでした。けっこう私もテンパっていたのでしょう。

 あちらから用意できそうだと返事があった後、編集部に駆けつけ、会議室の中で、一切の資料もないまま、徹夜で、なんとか6時直前に書きあげました。4ページ用で原稿用紙換算20枚ほどでした。きつかったです。
 谷川が中原から名人位を奪った時期のことでした。テーマもそれです。大山から中原、そして谷川と、自分でもあれこれ想うことがあったので書けた原稿でした。谷川が初めて名人になり、あの名台詞「名人を一年預からせて頂きます」の時ではありません。あれは加藤一二三から奪取した時です。
 中原から奪い、「中原さんに勝って初めて名人」と思っていた谷川が、真の谷川時代に向かって歩き始める時です。(でも中原さんは、谷川からまた取りもどします。驚異でした。感動しました。)

 一晩で仕上げたのですから、何十回も読み直して推敲するのが常の私の仕事としては、時間的に一種のやっつけ仕事になりますが、出来上がったものに関しては今も自信を持っています。
 落ちるかもしれないと覚悟していたのをぎりぎりで助けてくれたとたいそう喜んでもらい、編集長までニコニコ顔で出てきて、握手をして(笑)、その場でギャラの20万をくれました。ギャラのことは聞かずに受けました。いわゆる「とっぱらい」で、後に源泉徴収も来なかったように記憶しています。一晩で20万だといい仕事のようですが、当時の私は馬券狂なので、その週にすぐに溶かしてしまいました。

 弦巻さんというひとは、将棋関係では高名なカメラマンらしく、そのときカメラマンを飛びこえて、さらに「エッセイスト」としてデビューしようと思ったようです。でも現実にはまったく書けず逃げ出しました。いまも名物カメラマンらしく、大言壮語しているのをたまに将棋雑誌で見かけますが、迷惑を掛けられた私は好印象をもっていません。逃げた詫びもありませんでした。積み重ねてきた将棋愛があったから、水準以上のものを書けたと思っていますが、へたをしたら、唯一の、今も恥じる、やっつけ仕事になるところでした。

 前記、「今も自信を持っています」にはすこしウソがあるかもしれません。後々後悔と羞恥で身悶えするようなひどいものを出さなかったというだけで、三日あったらもっといいものが書けたし、一ヶ月前に正規の注文を受けていたら、どんなにいいものが書けただろうとは思います。だから、やっぱり、これはこれで私の「将棋関係唯一のやっつけ仕事」なのかも知れません。



 放送関係は学生時代から親しくしてもらっているM先輩がディレクトする仕事をやってきました。これもM先輩という仕事に厳しいすばらしいかたがいたからやったのであり、手を広げませんでした。心優しいM先輩は、自分にもっと力があったら、私にももっともっといろんな仕事を廻して遣れたのにとおっしゃってくれたことがありましたが、私はM先輩以外のディレクターと仕事をする気はありませんでした。自分から世界を縮めているようですが、後々恥じない仕事をするためには、己の力に応じた、こういう縮めかたも必要と思っています。



 競馬では、この20年を振り返ると、ずっとYさんという名編集者に支えられてきたのだと、あらためて気づきます。
 理科大院卒のYさんは、理系独自の厳しさで、情というか乗りで書く私の文章を、上手に諌めてくれます。Yさんの指摘により、私は脱線した部分を修正し、飛びだしたよけいな枝葉を剪定します。結果としてこの20年、私とYさんのタッグで創りだしたそれは、どこに出しても自慢できるだけのものであったと自信を持っています。昨年の仕事など、たった4枚を書くのに、どれほど多くの資料を読んだ(読まされた)ことか(笑)。

 今春、移動でYさんは私の担当ではなくなってしまいました。今更ながらYさんの世話になっていた自分に気づき、とても心細い心境で仕事をする春です。



 Hさんも理系のかたなのでしょうか。私の脱線した部分を適確に指摘してくださるメールを読んで、私の缺けている部分を補ってくれる感覚に、Yさんとの仕事をなつかしく思い出しました。
 Hさんがコンピュータ将棋に興味をもったのは「渡辺対ボナンザ戦」からだとか。そのあとの集中しての取り組みかたと系統だった智識は、やはり理系の智性を感じます。
 私も一応理系崩れ(笑)で、数学大好きであり、いわゆる「国語英語が大得意。数学物理はチンプンカンプン」というタイプではないのですが、大ざっぱな自分を反省するたび、本物の理系のきちんとした感覚のかたはすごいなと感嘆します。

 Hさんは今回あらたに知りあったかたではありません。もうずいぶんと前から、気づいたことがあると指摘してくれます。ありがたい存在です。今回のメールはひさしぶりでした。

 今日も雨。
 ひさびさに「インターネットもいいもんだ」と思える朝になりました。多謝。
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  1. 2013/04/21(日) 07:36:45|
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